「2020年は走塁改革よ!」
結乃が走る仕種を見せながら言った。
尚、本当に走り出したりはしない。
結乃は幼少時は心臓が悪かったこともあり、体力もなければ運動神経も悪かった。
「・・・・なんか今、ディスられた気がする!?」
「ど、どうしたの結乃?」
理衣が、暴れようとする理衣を慌てて止める。
「横道にそれるのはやめて、本筋よ。2020年は走塁改革よ!」
DeNA・ラミレス監督 走塁改革する 今季12球団ワースト40盗塁
「えーと、2019年のチーム盗塁数は40だって」
「阪神の近本一人でそれくらい走っているわよ!」
「チーム全体でそれって、確かにちょっと少ないよね」
「少なすぎるわよ!」
筒香、ロペス、ソト、宮崎。
この四人を打線の中心と据えた時点で多くの盗塁数が望めないとはいえ、少なすぎるだろう。
「筒香がいなくなることもあるけれど、いたときから意識改革はしてほしかったけどね・・・・」
「当初、しようとしていたよね」
「神里がルーキーの時ね」
2018年開幕当初はソトがまだ出ていなかったこともあり、積極的な走塁をしていた。
神里もまだマークされておらず、宮本や楠本といったところも盗塁していた。
「でもソトが出てきて打ち出して、神里も研究されて盗塁できなくなって、一気に減ったわね」
「スピーディな野球は見ていて気持ち良いよね!」
「その気持ち良い野球をどれだけ相手チームにやられてきたことか・・・・」
悔しさを表に出す結乃。
「ドラフト1位で森をとったし、どんどん変えて言って欲しいわ。別に盗塁といわない、走塁よ!」
「次の塁を常に狙う姿勢とかだね」
「本当にもう、各駅停車の攻撃はストレス溜まるからね!」
1イニングに3安打して1点も取れない。
よく見る光景でもあった。
「外野は梶谷、神里、桑原、さらに楠本や関根、乙坂とかもね」
「内野は・・・・」
「いないわね。まあ足が遅くても言ったように走塁意識を強める事!」
全力疾走、そして相手の隙を狙うような姿勢。
相手に警戒させることも、戦う上では重要だ。
「ベイスターズがやられてきたことだからね・・・・」
「だかもう、自虐は!」
「これからは、やり返すわよ!」
そう簡単にはいかないかもしれないが、まずは一歩目から。
どんどん走ろう!