「秋季キャンプに行ってきたわよ!!」
結乃が拳を振り上げて叫ぶ。
「今年も行ってきました、奄美大島キャンプです!」
理衣も両手を広げて喜びを表現する。
「今年は天気が良くてよかったわ!」
「去年は雨に泣かされたもんね・・・・」
「せっかく観に行ったのに、ほとんど室内練習とかね。しかも寒かったりして!」
「今年はそんなことありませんでした!」
むしろ暑いくらい、半袖の人もたくさんいた。
「ということで名瀬運動公園に! と、思ったら道に迷ったー!?」
「なんか、バスのダイヤと運行先が変わっている・・・・?」
そう、10月からバスのダイヤ改正がされ、さらにバスのルートも変更されているのだ。
「レンタカー組には影響ないけど、数少ないバス組には思いがけない変更!」
「私達も免許取らないとだね・・・・」
ホテルから運動公園まで直接通じるバスがなくなり、途中で降りて歩いていく二人。
どうにか辿り着いた先では。
「おー、これが新しいバス!」
「なんか、格好良くなっている!」
と、新しくなった球団のバスを見て楽しみ、グラウンドに。
「今年は奄美に来ているのは野手だけ、なんだよね」
「投手の練習が見られないのはちょっと残念ね・・・・」
「当たり前だけど、打撃練習が多いわね」
「みんな、打っているねー」
そうして練習を眺めている。
「ブルペンはあたりまえだけど誰もいないわ」
「あれ、でもブルペンの隣のところに誰かいるよ?」
人の姿が見えたので移動してみると。
「お、山本が練習しているじゃない!」
「ゴロの捕球だね」
「・・・・ここ、座って見られないから疲れるのよね」
体力のない結乃であった。
そうしてさらにしばらくして。
「・・・・練習終わるの、早っ!?」
驚きの声をあげる結乃。
時計を見ると、時刻はまだ午後の2時半前。
しかし、グラウンドから選手の姿はほとんど消えていなくなっている。
「このキャンプから全体練習を無くして全部個人練習にしたんだって。そのせいで終わるのも早いみたい」
「だからって、こんな早く終了して上達するの!? こんなん最下位チームの練習よ!」
「で、でもほら、長くやれば良いってもんじゃないから・・・・」
結乃の言を聞いて、慌ててなだめる理衣。
「それでも、もっといじめ抜け!」
昭和体育会系な結乃の叫びなのであった。
(おまけ)陸上競技場にも選手はいます。
つづく