2019年振り返り #53 その右手は投球に全力を スペンサー・パットン
「パットンはやらかしの方で名をあげちゃったわね!」
結乃がことさらに大きな声で言う。
「ちょ、ちょっと、あえてそんな傷口に塩を塗るようなことを」
理衣が諫めるように言うと。
「もう起きたことは変えられないんだから、仕方ないわ!」
堂々と言い切る結乃であった。
#53 スペンサー・パットン
当番試合 : 42
投球回数 : 36 2/3
防御率 :5.15
勝利 : 3
敗北 : 2
セーブ : 0
ホールド : 7
奪三振 : 45
「うん、キレるだけあって成績も悪かったわね。アレもあったし、15点ね」
「点数が早い!」
「こういうのは早くしておいた方が良いのよ」
「・・・・そう?」
理衣がさすがに首をかしげる。
「でも、どうしてここまで打たれちゃったんだろうね」
「うーん、日本で2シーズン投げたし、研究もされているだろうしね」
「それにしても・・・・」
「日本の野球も進化しているのよ」
の、一言で済ませてしまっても良いのだろうか。
「球種がストレートとスライダーが殆どだからね、攻略されやすいのかも」
「三上投手とか三嶋投手もそうだよね」
「だから三上も打たれがちだったしね。三嶋は、二人よりストレートの質が高いと思うから」
「感覚的だね」
「素人の独断的な思いだからね!」
とはいえ、落ちるボールがないのは厳しいかもしれない。
「でも、復活してくれると信じているわよ!」
「ファンの皆も、熱い気持ちをもつパットン投手のことは好きだもんね!」
マウンド上でカッカするパットンだが、そこまで熱くなる投手はあまりベイスターズにはいない。
そして、ブルペンをまとめ盛り上げようとしてくれているのも知っている。
二年間、セットアッパーとして支えてくれた事実もある。
「同じ過ちを繰り返さず、そして打たれたことを振り返って、またセットアッパーに戻って来て欲しいわね!」
「苦労するもんね、あのポジションは」
「エスコバーが今はリードしているけれど、左右両輪として活躍してほしいわね!」
「将軍の帰還をお待ちしています!」
怪我から復帰したマウンドでは全く状態が上がっていなかった。
このオフ、しっかりトレーニングを積んでパワーアップして戻って来て欲しい。