「マジかーーーーーー!!」
結乃が絶望の絶叫をあげ、大地に伏した。
何がそこまで結乃を叩き落としたのか。
それはそう、これである。
「あああ、東投手が」
理衣も哀し気な表情を見せている。
「……でもまあ、なっちゃったもんは仕方ないわよね」
「えっ、軽っ!?」
あっさりと立ち直りを見せた結乃に驚く理衣。
「だましだましで無理に投げさせるより、手術して治した方が良いでしょ」
「うーん、それはそうかもだけど」
「目先のことだけを考えていては駄目よ! 選手のことも考えて長い目で見ないとね!」
「いや、さっきは絶望の雄たけびをあげていたのは結乃じゃない」
「切り替えよ、切り替え!」
「復帰は来年の後半だとか?」
「まあこの際、来年いっぱいはいないものと考えましょう」
「まだ若いし、無理せずにしっかり治して欲しいね」
「それに、他の投手にとってはチャンスでもあるわよ。穴が一つ空くんだから、目の色変えていかないと!」
東の穴を埋めるというのは、チームとしてはそういう思いだろう。
だが、実績の少ない若手、あるいは一軍を狙う選手にとってはチャンスなのだ。
「東が復活してきたとき、そう簡単に入る場所がないくらい、レベルがあがっているといいわね!」
「東投手が安心してリハビリに専念できるよう、みんなで頑張ろう!」
待っているぞ、東!