「緊急事態宣言、本来なら解除されたはずの初日よ!」
結乃が胸を張って言う。
「そういうことはあえて口にしなくて良いから」
理衣は苦笑いしながら軽く諫める。
「こういう状況の時こそ、しっかりと背筋ののびた、芯の通った男が!」
「お?」
「そんな男はこの人、片平晋作よ!」
■横浜大洋ホエールズ (1987 - 1989)
■通算 4309打数 1181安打 打率.274 176本塁打
ダイヤモンドグラブ賞:1回 (1983年)
「立派な成績だね!」
「ほとんどは南海、西武時代の成績だけどね」
「大洋に来たのは1987年で、在籍したのは3年間だけなんだね」
「移籍した時点で37歳、それでも期待されていたわけで実際、1987年は1塁主としてHRも13本打っているわよ」
「それは凄いね!」
翌年から徐々に出場試合数を減らし、主に代打での登場となっていた。
それでも代打の切り札的存在として頼もしかった。
「片平晋作といえばやっぱり、一本足打法よね!」
「王選手にそっくりだったっていうね!」
「格好良かったわよ!」
「あとは応援歌ね。あの曲も好きだったわ」
「どういうの?」
「合唱曲「夢を乗せて」のメロディで、片平 それかっ飛ばせ 一発ホームラン♪ ってね。まあ片平だけじゃなく、白幡とか他にも使われているけれど」
「メロディラインが良いね」
2018年、膵臓がんのた68歳の若さで亡くなられてしまった片平晋作。
ファンに残してくれた印象は決してなくならない。
西武-大洋にかけて、3年連続、開幕戦本塁打とか。
ホエールズにいたのは晩年の3年だけだったけれども、それでも脳裏に焼き付けられている。
あの、打席で一本足で構える姿だ。
「名前もなんかいいわよね、晋作、って。こう、武骨ながら格好良い感じがするわ! 武士みたいじゃない」
「それは高杉晋作のイメージ?」
似てますからね!