「いやー、これからはもう上がっていくしかないわね!」
「いきなりポジティブに!?」
「たとえこれから連敗が続いても、負けていることにかわりはないからね、ならばあとは上がるだけか!」
「うーん、滅茶苦茶なポジティブ理論だ」
唐突にポジティブなことを言いだした結乃のことを、理衣が訝し気に見つめている。
「まあねえ、とりあえず、巷で色々と言われていることを検証してみましょうか!」
「おー、なるほど?」
1.バントしないことに対する是非
「これはもうね、ラミレスが監督の間は諦めるしかないわね!」
「諦めた!?」
「だって、そういう思想の監督だってことは前から分かっているわけで。バントはアウトを与えるだけ。大きな点を取るには、アウトにならずにランナーをためて打つのが良いってね」
「それが出来たら苦労しないけどね」
「そう、出来ないから負けている。もう、これだけ! 実際、出来ていた時は点を取って勝っていたわけだしね」
「ギャンブルだなぁ」
「そういう野球をチームとして選択しているのだからね」
とはいえ。
僅差の終盤では1点を取りに行くための送りバントをして欲しいとは思うのですがね。。。
2.伊藤光の降格
「事情が分からないから分かりません!」
「それを言ったら、何も進みませんが?」
「チームとしての方針があって、それに従わないのなら降格というのも理解できるけれど、事実は分からないからね」
「色々と憶測されているよね」
「ただ、ちゃんと話し合っているのか。チームとしての戦略をきちんと選手達に理解させているのか。それができていないのだとしたら問題よね」
「うう、辛い・・・」
正直、総合力で見れば伊藤光がいないのはきつい。
それでも落とした内実には理があると信じたいのだが。。。。
むしろ怪我でまだ本調子じゃないので調整する、とかの方がファン精神的にはまだ良かったかも?
3.平良へのサインの件
「いやいや、さすがにこれはあり得ないでしょう! てか、平良に失礼でしょ!?」
ここにきて、目を向いて言う結乃。
「不安なら確認せいや!」
「さすがにね。。。。」
4.康晃の交代
「これもね、同点で交代はないでしょ」
「マウンドにもいかずにいきなり、だもんね」
「確かに康晃の調子は悪いけれど、守護神として出したなら勝ち越されるまでは投げさせなさい!」
5.もろもろ
「こちらは外野で内部事情知らないから、あまり下手なことは言えないけれど。ラミレスはラミレスで、自分なりに勝てると思って采配しているとは思うのよ、さすがに」
「そこを疑ったらね」
「ただ、選手も人だからね。思うことだってあるのを理解できているかよね」
「人は気持ちで動くからね」
プロだったら、与えられた仕事、役割で最高のパフォーマンスを出しなさい。それはその通りかもしれない。
でも、何の説明もなく、あるいは本人の納得もなく、最高のパフォーマンスを出すのは難しい。
野球ではなく、会社の仕事だって同じである。
本人が納得していない状態で、素晴らしいパフォーマンスが出せる人間は、そうそういない。
「原点にかえるしかないわね。TBS時代のク○な状態と比べたらマシ、そもそも今年はコロナで応援出来るだけマシと思ってみるわー」
「あ、ネガティブなポジティブだ」
でもそう、こうして色々と考えたり、批判したり、怒ったりできるのも、野球が開催できているから。
「そう考えてやり過ごすわ!」
「いやいや、まだ上に行くことを応援しようよ!」