「古村、復帰しても一軍登板ならずだったわね」
無念そうに結乃がいう。
「頑張って戦力外から戻ってきたのにね」
理衣も残念そうである。
TBS最後の年となった2011年のドラフトで2012年DeNA初年度に入団。
その後、戦力外となって打撃投手となるも、独立リーグで選手として復帰。
そこから力を付けて再びベイスターズに入団するという奇妙な経歴を持っていた。
プロ野球を首になった選手にも勇気を与えたことだろう。
「ただ、怪我よね」
「うーん」
「入団時のメディカルチェックでは問題なしだったんだけど、難しいわね」
「満足に投げることができなかったね」
150キロを超えるストレートを投げるようになったということだったが、それをマウンドで見られなかった。
本人も無念であろうが、それでも悔いはないのではないか。
全力で挑戦し、這い上がってくることが出来たのだから。
怪我がなければ、もしかしたら一軍でも登板できたかもしれない。
そう考えれば、決して無駄なことではなかった。
プロを首 ⇒ 独立リーグ ⇒ プロ復帰
を果たしたのだから。
今季であれば同じように歳内がヤクルトに復帰した。
その先駆けとなった(はず)なのだから。
「二軍の最終戦では登板できていたし、故障も治ったのでしょう。ならば、またどこかで投げることも出来るはず!」
「野球が好きなら、プレイしたいなら、まだどこででも出来るはず!」
「さすがにNPB復帰はもう難しいとは思うけれど、次のステージを応援しているわよ!」
「はい!」
頑張れ、2011年ドラフト組。