「さあ、今年も振り返りを行うわよ!」
結乃が元気よく言った。
「今年もこれが出来るっていうのが嬉しいね!」
理衣も微笑みながら言う。
もしかしたらシーズン開幕できないかも?
なんて思っていた春先だけに、きちんと一軍、二軍とも振り返ることが出来るのは嬉しいこと。
もちろん、誰もが思うような成績を残せたわけではないが。
「ということで、トップバッターは、シュウメイ!」
「宮本選手だね」
#00 宮本 秀明
出場試合 : 6
打数 : 5
打率 :.400
安打数 : 2
HR : 0
打点 : 0
盗塁 : 0
「順位が決まった後に一軍に上がってきただけなので、一軍成績はこれだけね」
「打席は少ないけれど、何もできなかったわけじゃないからね」
「最終戦、最後の打者になるかと思われたところで執念の内野安打を放ったのは、頑張ったわ!」
「あれがあったから、神里選手のサヨナラタイムリーにつながったもんね!」
「ちなみに二軍では打率は2割4分だけど、盗塁は15を決めていてチームの盗塁王よ」
「二軍はチーム全体の盗塁数も多かったもんね」
「比較的走れる選手が二軍にいたってことだけど、それでもどんどんトライして。宮本はそこが活きる道でもあるからね」
「最終戦はヒットの前も、代走で出て神里選手のヒットでホームまで帰ってきたの、速かったよね!」
「ああいうのが求められているのよ!」
ドラフト下位であり、一芸を見込まれて入団したはず。
もちろん、他でもアピールしてレギュラーを狙っていきたいだろうが、まずは足を武器に一軍定着が狙う所だろう。
他のチームには存在する足のスペシャリストがベイスターズの1軍にはいないのだから。
「そのためには足が速いだけじゃ駄目よ! 盗塁技術、走塁技術を磨かないと!」
「一軍の投手は牽制が上手いとか、捕手も経験豊富だったり、あるしね」
「そこで結果を残してこそ、よね」
「それこそ最終戦みたいに、代走から守備に入って、うまくいけば打席も回ってきて、ってなるしね」
「そういう少ないチャンスを掴んで一軍定着、将来的なレギュラーへの道があるからね!」
個人的には、やはりスピードスターは期待したい。
パンチ力も実はそこそこあり、あとはやはり打撃、走塁の確実性をあげていくことか。
「一軍が殆どなかったからね、20年シーズンは40点ね」
「なんともいえない点数だね」
「60点以上は目指して欲しいわね!」
まだ24歳、もう24歳。
いずれにしてもここ1,2年が勝負どころだ!