「ジャイアンツ、何やってんのよ。セリーグが馬鹿にされる一方じゃない」
日本シリーズを見終えて、結乃が文句を言う。
「まあ、そのジャイアンツさんに独走させちゃった他のチームなんだけどね」
理衣がなんともいえない顔をして言う。
「もちろん、開幕ダッシュで逃げ切ったってのはあるけれど、それにしてもねえ」
「まあ、それは置いておいて」
「2021年はベイスターズが優勝して日本一よ!」
で、本題に。
「桑原ーーっ、アンタは何やってんのよっ!」
結乃の怒声が響き渡った。
「どうしちゃったんだろうね、桑原選手」
理衣の声は元気がない。
迷えるガッツマン、桑原。
その成績は年々低下していっている。
#1 桑原 将志
出場試合 : 34
打数 : 36
打率 :.139
安打数 : 5
HR : 1
打点 : 2
盗塁 : 0
「ちょ、これ、酷くない!?」
「19年より悪化しているね」
正直、見るに堪えない数字になってしまっている。
「打撃ねー、どうなのかしら、基本というか、立ち返るべき場所が分からないのかしらね」
「16、17年の頃を思い出して欲しいね」
「今は正直、打席に立っても期待が持てない感じだもんね」
「厳しいけれど、結果がね・・・・」
代打で告げられて、
今度こそは!
と思いながら観ていて
ああ、やっぱりか・・・・
と思わされることの悲しさ。
本人も辛いだろうけれど、観ている方も辛いのだ。
「でも、本人が乗り越えていくしかないのよね」
「コーチも協力はしているんだろうけどね」
「2軍でも.245だからね。2軍で圧倒するような成績を残してくれないとね」
「守備力はぴか一なんだからね」
とはいえ、今の外野陣では、守備だけで一軍に残すのは厳しい。
同じ右打ちの外野手ならば、二軍で結果を残している細川を上げて起用するだろう。
「守備力は分かっているんだから、とにかく打撃よ! あたし達は素人だからわからないけれど、打てなさそうなのはなんとなくわかるわね」
「ただの雰囲気じゃないの?」
「それでもよ。強かったストレートはファウルにしかならず、あとは落とされてクルン、だからね」
「打撃コーチ、本当にお願いします!」
「桑原センターだと守備の安心感が違うのよね。このままじゃあ、背番号1の剥奪どころか、トレードだってありえるわよ!」
「高城選手も、是非、フォローを!」
とはいえプロ、自分がどうにかするしかない。
この先、生き延びられるかどうかの瀬戸際だと思う位、必死に考え、練習し、立ち上がって来て欲しい。
仮にソトが抜けてオースティンがファーストにまわれば、外野は一つあく(梶谷は残留して!)
神里、細川らと競い、レギュラー復活を目指せ。
「点数は10点よ!」
「仕方ないかー!」