「今回は、神里ね」
頷きながら結乃が言う。
「イケメン!」
理衣は相変わらずだ。
#8 神里 和毅
出場試合 : 80
打数 : 169
打率 :.308
安打数 : 52
HR : 3
打点 : 17
盗塁 : 7
「1、2年目と順調に成績を伸ばして、2020年はレギュラーとして期待された年だったんだけど」
「レギュラーの座は梶谷選手にとられちゃったね」
「それもこれも自分自身のせいだからね!」
「オープン戦から成績が奮わなかったもんね」
一番センターの筆頭候補だった。
というか、キャンプまではその想定だったであろうし、オープン戦でもそのように起用された。
しかし打撃で結果を残せず、逆に梶谷が数字を残した。
そして開幕の一番センターを梶谷に譲った。
「プロの世界は厳しいからね、一度掴んだら絶対に離さない! ってしないとね」
「まだまだ安定していないってことだよね」
「まあ、レギュラー確定ってわけじゃなかったし、その争いで負けたってだけよ」
「言い方がシビア!」
「打撃は、良い時は固め打ちだけど、ダメな時はからっきし。三振も多く、選球眼もあんまよくないからね」
「もっと褒めようよ、ほら、最終的には打率3割こえたし」
「でも一年目より試合数、打数も減っているからね」
「あう」
打撃においてはファウルで粘れる技術や、ボール球を振らない確率を高めたい。
「あと、守備も変なポカはいまだに見られるからね」
「その辺の信頼感も重要だね」
「足が速いだけじゃ駄目! 球際に強くならないと!」
「好プレーも見せるんだけどね」
「そりゃ、どんな選手でも好プレーくらいたまにはするからね。そうじゃない、普通の守備が大事なんだから!」
「手厳しいね」
「甘く出来る立場でも年齢でもないからね、でも一応三割打ったから、60点くらいね」
「社会人から入団だから、本当に毎年が勝負だよね」
「圧倒的に若いわけじゃないからね。もう27歳、レギュラー定着してバリバリやらないといけない年齢よ」
「外野はライバルが多いけれど、その中でも筆頭ではあるよね」
「梶谷、ソト次第で外野はどうなるか、よね。とはいえ佐野、オースティン、梶谷の次に来ることは間違いないわね」
来季は梶谷の去就に関係なく、例え梶谷が残っていても梶谷を上回って先にセンターに選ばれるくらいでないといけない。
もちろんライバルは梶谷だけではない。
細川、桑原、乙坂、楠本、蛯名、関根、多くの選手が一軍定着、レギュラーを目指しているのだ。
「しっかりオフに鍛えてきなさい!」
「期待しています!」