「ルーキーの伊勢!」
勢いよく手をあげながら結乃が言う。
「初年度から大活躍だったね!」
理衣は手を叩いている。
厳つい顔に愛嬌のある笑顔。
ルーキーらしからぬマウンドさばきを見せた伊勢の成績である。
#13 伊勢 大夢
当番試合 : 33
投球回数 : 35
防御率 :1.80
勝利 : 3
敗北 : 1
セーブ : 0
ホールド : 4
奪三振 : 39
「これはたいしたもんね、90点!」
「はやい! 高い!」
「ルーキーでこれだけの成績を出せば文句ないでしょ。ルーキーとしての点数ね」
「本当に良かったよね~」
当初は当然ながらビハインドの登板だったが、次第に緊迫した場面でも起用されるようになり。
シーズン後半ではリードしている場面、ピンチの場面なども任されたりもした。
そして、きっちりと結果を残した。
「サイドから威力のある直球を投げ込んで、良かったわよ」
「安定していたよね」
「最初の頃は決め球がない、なんて感じもあったけれど、なんだかんだ抑えられたわね」
「球に力がある感じだよね」
「投球回数以上に三振を奪っているのも、中継ぎとしていいわよね」
「マウンド度胸もありそうだしね」
中継ぎはいつの年も大変だし苦しくなる。
そんな台所事情を間違いないく助けてくれた。
「さすがね、ルーキーだけどベテランの風格があるしね」
「そ、そう?」
「ほら、戸柱みたいだし」
「似ているよね!」
金剛力士バッテリーとして今後も頑張ってほしい。
「でも、2年目は相手も研究してくるだろうし、更なるパワーアップは必要でしょうね」
「具体的には?」
「うーん。直球の威力はあるから、やはりコレという変化球があるといいのかしら?」
「決め球、ってやつ?」
今はストレートで押している部分もあるが、そこに変化が加えられれば。
「その辺は本人も自覚しているみたいだし、コーチとも相談してやっていくでしょ」
「楽しみだね」
「ドラ3でも一気に出世ね。来季は後輩で入江も入ってくるし、さらに逞しい姿を見せて欲しいね」
「勝ち試合でたくさん登板する姿を見せてください!」
期待以上の結果を出してくれた伊勢。
二年目、更なる勝負の年、飛躍の年になるように。
ベイスターズのルーキーは二年目がなかなか、だからね。