「えーと、今回は微笑くんか」
引退宣言をした水島新司先生のドカベンを読みながら結乃が言う。
「いつもニコニコ、もとがそういう顔なんだよね」
つられるように微笑んでいる理衣。
微笑三太郎と冨永愛、果たして本人的にはどちらがよいのか。
などはどうでも良いことで。
#12 阪口 皓亮
当番試合 : 3
投球回数 : 12
防御率 :7.50
勝利 : 0
敗北 : 2
セーブ : 0
ホールド : 0
奪三振 : 10
「うーん、期待はしているんだけど、なかなか難しいわね」
「良い投球をした試合もあったんだけどね」
「打線の援護がないのよね。その辺が京山と違うというか」
「めぐり合わせ、というのもあるのかな」
勝つ投手は、あっさりと勝利したりもする。
反対に、好投してもなかなか勝てない投手もいる。
「といっても、阪口はまだまだ、そこまで言うほどの投球を見せているわけじゃないからね!」
「一軍で勝つにはどうすれば良いのかな」
「決め球かしらねぇ。やっぱり」
「あとは、内容はともかく一軍で一つ勝つと変わるかも」
「ああ」
実際、勝利という結果がついてくることで自信を持ったり、流れが変わることもある。
京山などは、もしかしたらそれが大きいかもしれない。
昨年は勝てなかったが、20年シーズンは再び勝利を挙げたのも、それがあったのかも。
「若い投手は打線が育てる! ドラ1の即戦力投手ってわけでもないんだから!」
「自信をつけたいところだね」
「2軍では成績を出しているけれど、一軍では。難しいところね・・・ということで55点くらいに」
「厳しくない?」
「甘くはしない! 一軍で活躍を期待するからこそよ!」
阪口もそろそろ1軍で結果を出したい年次に入ってきた。
なかなか高卒投手が育てられないベイスターズの殻を打破してもらいたい。
「本当、高卒投手で一軍戦力になっているの、近年だと砂田くらい? 育成じゃない!」
「即戦力投手は頑張っているんだけどね」
「まあ、即戦力だからね。素材型を育てられないとダメよ!」
「まずは京山投手、そして阪口投手が先陣切ってバリバリ活躍してほしいね」
期待はしている。
だけど、若い投手は後からもどんどんと入ってくる。
いつまでも待っていてくれないのがプロだ。
どうすれば一軍で活躍できるのか、日々、考えて過ごして欲しい。
「井納がFAで移籍したから、そういう意味ではチャンスでもあるのよ」
「今永投手、東投手も時間がかかるだろうから、その間にどれだけアピールできるか、だね」
「そういうチャンスを掴んだ選手が生き残っていくんだからね!」