「大貫、三嶋と続いてからの康晃かぁ」
しかめっつらの結乃。
「今季は辛かったねぇ」
理衣も肩を落としている。
失意の年となった山崎の成績はこんな感じである。
#19 山﨑 康晃
当番試合 : 40
投球回数 : 38
防御率 :5.68
勝利 : 0
敗北 : 3
セーブ : 6
ホールド : 8
奪三振 : 31
「わかっていたけれど酷いわね」
「どうしちゃったんだろうね」
「よく言われているけれど・・・・太りすぎ?」
「それってやっぱり影響あるのかな?」
「わかんないけれど、結果が出ていない以上は言われても仕方ないでしょ」
見て分かるくらい、顔も、お腹周りもふっくらとしている。
新人の頃の写真や動画を見ると、今と比べて物凄く細く感じられる。
「もともと太りやすいんでしょうね。コロナ禍で外出禁止、練習も不足して、体調管理に失敗したのか」
「これまでも夏場とか打たれている時もあったけれど、ここまでではなかったもんね」
「原因が異なるんでしょう。ツーシームは早く落ちすぎたり見極められ、ストレートはその日によってばらつきもあって」
「なかなか打ち取れなかったもんね」
三者凡退にならないならまだしも、簡単に走者を出し、走られ、打たれる。
「牽制を初めてしたら、それがまた悪い方にいってね。走られ放題な感じになっちゃったわね」
「悪い時は悪い方向にいくよね」
「というか、練習とか、そういうものじゃないのかしらん」
代わりに抑えになった三嶋が牽制が上手でフィールディングも上手い。
それとも比較してしまう。
「とにかく、全てを鍛え直すしかないわ。ボールの精度も、あるいは新たな勝負できる球種を増やすか」
「シーズン中もスライダーを投げていたりしたよね」
「とはいえ決め球になる感じでもないし。追い込めても、そこから打ち取れないのも多かったしね」
「あのツーシームはどこへ・・・・」
ルーキー時代のツーシームはキレも、落ち方、落ちるタイミングも良かった。
それが今は、落ちるのが早すぎて見極められるか、落ちが甘くて打たれるか。
「本人も苦しんで苦しんだでしょうけれど・・・・プロは結果の世界だからね、10点ね」
「うわぁ」
「問題はこれからよ! 今シーズンの課題を抱えてどうするか、今後のプロ生活にも関わるわよ!」
「いきなり正念場!」
ルーキー時代から二軍に落ちること無く一軍で投げ続けたのは凄いし、勤続疲労もあるだろう。
とはいえプロでは活躍できなければ落ちていくのも早い。
体形も含めて、早めに対策をとっていかなければならないだろう。
「ファンサービスとか、そういうのが素晴らしいのは分かっているからね。改めて、野球で力を見せて欲しいわ」
「みんな、満員のスタジアムでヤスアキジャンプをやりたいからね!」
「あればベイスターズの武器なんだから。這い上がってきなさい、康晃!」
ファンは今までの活躍に感謝を忘れないし、有難いと思っている。
そして、待っている。
最終回に抑えとして康晃が登場することを。