「YATTA! のオースティンね」
諸手をあげて言う結乃。
「もう、言わされている感もあるよね」
苦笑いの理衣。
来日一年目。
その潜在能力、パワーを見せつけてくれた一年目だった。
#23 T.オースティン
出場試合 : 65
打数 : 238
打率 :.286
安打数 : 68
HR : 20
打点 : 56
盗塁 : 0
「怪我で試合数が少ない中、これだけの数字を残したのよね」
「そうだよね、ホームランも20本。140試合なら40本以上の換算だもんね」
「もちろん、そんな単純計算じゃないけれど、それを実現してもおかしくない感じだったわよね」
「パワーが凄い!」
正直、え、今の打球で入っちゃうの? という感じだ。
その感覚は昨年までのソトにもあったが、オースティンはまたちょっと違う感じだ。
ソトは打ちそこなっているように見えたなのにスタンドイン。
オースティンは、打ちそこないというよりは軽く振ったように見えてスタンドイン。
イメージ的にはそんな感じ。
「大振りっていう感じがしないのよね」
「来日前は選球眼、外の逃げる球が不安視されていたけれど、そこも意外とよく見ているよね」
「本人も意識はしていたでしょうけどね。打てない時期もあったけれど、その辺を修正したわよね」
「オースティン選手の打席はワクワクするよね」
「そういう選手は久しぶりな気がするわ」
さすが、かつてメジャーのメガプロスペクトでもある選手だと思わせてくれた。
「惜しむらくは、全力プレーがたたって怪我が多いことね」
「でも、それをなくしたらオースティン選手じゃなくなっちゃうよね、きっと」
「本人のプレイスタイル、でしょうからね。それを否定できないわー。だからこそ、ファンから好感を得られているのもあるし」
「でも、怪我はしないでほしい!」
「日本の球場についてもある程度把握したでしょうから、21年は更なる活躍を期待したいわ。今季は怪我もあったから70点」
「フル出場していれば!」
「そんなオースティンと新たに21年も契約を結べたのは素晴らしいわ! しかも2年目は球団に契約を結ぶかどうかの権利があるとか」
「長く活躍してほしいね」
「本人も日本の野球を舐めていなかったし、綺麗な奥さんともども日本を気に入ってくれたみたいね」
「奥様が、オースティン選手のこと大好きなのがわかるよね。コスプレとかもして、楽しそう!」
「まーでも2年目は研究されて攻略される可能性もあるからね、そこをどう対策とるか」
「日本の野球は弱点を攻める野球とも言われるもんね」
「とにかく、外に逃げる球、落ちる球の見極めよ! メジャーと違うからね」
「今季の調子で頑張ってほしいです!」
「あとは、走塁とかも全力なのがいいわよね。ロペスやソトほど鈍足でもないし。なんなら、盗塁もして欲しいわね」
「走塁革命だね」
全力プレイがあたりまえ。ヤンキースで育っただけのことはある。
その辺、ベイスターズの他の日本人選手にも良い影響を与えてくれればと思う。