「さてさて、投手陣は苦しんでいるのが続くわね」
結乃が渋い表情で言う。
「誰もがみんなうまくいくはずもないもんね。頑張ってほしいけど!」
理衣が拳を握りしめる。
各所で心配されている勝又である。
#28 勝又 温史
登板試合 : -
投球回数 : -
防御率 : -
勝利 : -
敗北 : -
セーブ : -
ホールド : -
奪三振 : -
「本当にどうしたことなのか。2軍でもわずか1試合の登板だもんね」
「怪我? 故障?」
「その辺もよくわからないけれど、見た人によれば、投球フォームが酷い、という発言ばかり」
「いったいどんな・・・・」
入ってくる話は。
- 制球がまったくつかない
- 故障しそうな投げ方
- 打者転向したら?
と、そんなのばかり。
そこまで酷いのか。
「投手として進みたいなら、コーチともどもフォームをイチから作り直すくらいじゃないとダメ、とか言われているわ」
「本人も色々と悩んでいるだろうね」
「打撃も良いし、もともと打者の才能もあって獲得した噂もあるから打者転向もありだとは思うけど・・・」
「本人がどちらを望んでいるか、だよね」
「ファンフェスではウクレレの腕前を披露してくれたけど」
「なかなか大したもんだよね!」
「まあ、気分転換になったなら良いわ。塞ぎこんでいても仕方ないし、キャラクター的にもそんな感じじゃないし」
「芸達者な選手が増えたよね」
「本業で目覚ましい活躍してくれる選手が増えて欲しいけれどね」
果たして21年はどういう方向で進むのか。
今のところあくまで投手でという形みたいだが、話だけ聞いていると無理しない方が、という気もしてくる。
「高卒とはいえ、近年は見る目も厳しいからね。別に打者転向が悪いわけではないし、よく考えて欲しいわ」
「投球の原因が分かればね。高校までは結果を出していたわけだし」
「プロはレベルが違うからね、そこで成長しようとして変な感じになったのかしらね。点数は付けられない感じなんだけど、まあ結果は結果、10点よね」
「なんとか、21年にきっかけでも掴んでもらいたいね!」
本当に、高卒投手を育成できない球団だぞ、これでは!