「侍の心を持つ男、ピープルズ!」
抜刀の構えを見せながら結乃が言う。
「日本に親しみを持ってくれるのは嬉しいよね」
理衣はにこやかな笑顔。
実際に日本にやってきての成績はというと。
#45 M.ピープルズ
登板試合 : 10
投球回数 : 38
防御率 :4.97
勝利 : 2
敗北 : 2
セーブ : 0
ホールド : 0
奪三振 : 29
「数字だけ見ればイマイチだけど、それでも残留が決まったわね」
「年棒も増えて、球団としては評価している、ってことだよね」
「実際に良い投球を見せてくれた試合もけっこうあったしね」
「数字だけじゃないってことだね」
初先発の試合では勝利こそ逃げてしまったが、良かった。
その後も、何度か好投を見せてくれた。
あまりイニングを喰えず、打たれる時は打たれたので数字的には見栄えよくないが、今後の可能性は見えたということか。
「助っ人としては物足りないけれど、もともと、6人のうちの6番手という立ち位置だったからね」
「難しい状況だったよね」
「なぜか中継ぎもさせられたりして意味不明だったけれど・・・・期待も込めて50点にしておきましょう」
「21年に期待だね!」
打たせて取るタイプ。
上背はあるけれど、三振を取るタイプではない。
制球は悪くないが、逆に制球がイマイチのときの登板では当然ながら打たれやすい。
「良い時は本当にスイスイ投げている感じあったからね」
「カーブなんかもキレがあったよね」
「ただ、絶対的な球種がないだけに、調子が悪い時にはイマイチどうしようもない感じがしたわね」
「その辺、2年目で日本の野球にも慣れて、うまいこと乗り切る力がつくと良いね」
球団が残したのは、新しい外国人選手を連れてくるよりもリスクが低く、かつ21年にはもう少し成績を伸ばしてくれそうだという見込みがあったのだろう。
もちろん、コロナ禍の影響もあったのだろうが。
「残留したからには全力で頑張ってほしいわね!」
「日本リスペクトなところも応援したくなるしね」
「エスコバーがいて、ロメロ、シャッケルフォードとライバルは多いけれど、先発枠は狙いどころだからね」
「ローテの枠を埋めたいよね!」
実績からいけば、ソト、オースティンの野手は確定。
エスコバーも間違いないだろう。
あとはロメロ、シャッケルフォードだが、先発の枠としてはロメロがライバルか。
幸い、外国人選手5人の一軍登録は21年も続くので、先発二人なら交互に登板させることも可能。
シャッケルフォードの肘が問題なく支配下登録された時にどうなるか、か。
「二年目の日本のシーズン、期待しているわよ!」
「お願いします!」