「たなべっちか」
適当な愛称で結乃が言う。
「高卒ルーキー!」
理衣が勢いつけるように言う。
一年目、当然ながらファームでの成績である。
#55 田部 隼人
出場試合 : 44
打数 : 121
打率 :.240
安打数 : 29
HR : 6
打点 : 13
盗塁 : 0
「まあ高卒一年目、頑張ったわよ!」
「そうだよね、ちゃんと試合にも出場してある程度の数字も出しているし」
「ということで60点ね」
「ここは同じだね」
ドラ1ルーキーの森と同じ高卒内野手。
ただ田部の方が185センチと大型である。
「梶谷がFAでいなくなった今、開星の★として頑張ってほしいわね!」
「せっかく同じチームになったのにね」
「まー、そればかりは仕方いけれど、大型内野手というのも面白いからね、是非育ってくれると嬉しいわ」
「ショートだと本当に、森選手とライバルだね」
「森に期待するけれど、森だけに期待ってわけにいかないしね。守備位置は他も狙うでしょうし」
「違うタイプだから、大きいのが打てるといいよね」
森もそうだが、田部も何か持っていると思わせられなくもない。
イースタンの最終戦、石川の最終戦ともなった試合では、つまったあたりながらサヨナラヒットを放った。
そういうモノを大事にして欲しい。
「高卒だからまだまだ細い感じはあるし、森と比べてもまだこれからな感じだけど、しっかり磨いてほしいわね」
「まずは二軍でしっかり下地を作って、ってところだね」
「三年以内、というよりは五年以内に一軍である程度目途がつけばいいと思っているけれど」
「大器として期待したいよね」
高卒からの若い内野手などなかなか出てこないベイスターズ。
是非、森とともに競って欲しい。
「森は基本的にショートで育てるでしょうけれど、田部は内野の複数ポジションでハマればいいわね」
「若いし、楽しみしかない!」
「そういうこと。若手内野手が増えたけれど負けないように!」
そして是非、森とともに将来の内野を任せられる選手になってくれ!