「なんだかんだいって、勝てばうれしいもんよね」
済ました笑顔で結乃が言う。
「三浦監督、初勝利おめでとうございます!」
素直に拍手する理衣。
まだ2月の練習試合とはいえ、連敗続きではあまり良い気はしないだろうし、見ている方も気にはなる。
これで1つ勝ったので、さらに気楽に試合が出来るのではないだろうか。
「その試合で先発したのがドラ1ルーキー入江!」
「ちょっと苦い登板だったね」
「2回3失点、ホームランも打たれたわね」
「それでも三振を奪ったり、良いところもあったよね」
「まあ打たれたら課題だし、抑えたら自信になるし、今はどちらでも、という感じよね」
「通用する部分もあるわけだしね」
もともと、完成したタイプというよりは素材型という評価でもあった。
投手としての期間も短いし、まだまだこれからに期待したい。
1年目から活躍したら嬉しい誤算だ、くらいに考えている。
「一方でドラ5の池谷は好投したわね!」
「いきなり連続三振! 四球のあとは見事な牽制でアウトに!」
「ダイナミックな投げ方で、実戦向きかもね。左の中継ぎとして期待できそう!」
「ホント、これは嬉しいね!」
もちろん、池谷も1試合だけでどうこう決まるわけではない。
それでも良かったところは良かった。
「打撃の方では、関根選手がサヨナラタイムリー!」
「今年はラストチャンスくらいに思っているでしょうし、今のところアピールしているわよね」
最後の打席も1,2塁間に引っ張っていた。
関根は野球脳が・・・という不安もあったのだが、さすがに色々と状況を考えたバッティングもできるようになってきたのか。
「あとはやっぱり8回、田中が粘って四球から盗塁、そして伊藤裕のタイムリーの流れはよかったわね」
「足を活かした攻撃ができたね!」
「少しずつでも成果が出ると嬉しいわよね」
「これからも続けて欲しい!」
もちろん、ミスもあった。
濱口の四球もいつもの感じだし。
点にはならなかったがバッテリーミスで1塁から3塁までいかれたり。
この試合は、相手の方がミスが多かったから勝てたような感じだった。
「ま、良いところは良いと、課題は課題と、きちんとしていければ良いわよね」
「直接、見に行けないのが本当に残念だね!」
「こうなったら来年のキャンプは2回行くしかないわね!」
「・・・・お金が!」
「今年の分をプールしておくのよ!」
あー。
キャンプ行きたい。