「打線はもう駄目だ!」
結乃が吐き捨てるように言う。
「諦めた!?」
理衣が驚きの声をあげる。
まあ、この試合も5安打無得点、12三振。
点が取れる気配もない。
「そりゃ、昨年と比べるとソト、オースティン、ロペス、梶谷がいなくなったわけだけどさぁ」
「相当いなくなったね」
「そら打てないわ!」
「また諦めた!?」
4人いなくなって(まあ、正確には、2人はいるのだが、いない)
追加は誰もいないんじゃあ、落ちるのは致し方ない。
こういうチャンスをものして下から出てくるものも、いない。
「まあ、大丈夫。そういう時代も幾年と見てきたからね!」
「だから、前向きにそうに見えて前向きじゃないから!」
「でもさ、初回から4回までチャンスを作って、ことごとく点にできていないからね」
「あう」
初回は相手のミスもあって1死1、3塁。
2回、3回は先頭が出塁。
4回は無死2、3塁。
「全て、だめーーーー!!!」
「せめて犠牲フライを打てていればね」
「頭が痛いわね、こりゃ」
「ま、前向きに・・・・」
「一応、上茶谷が4回1失点、阪口が4回無失点と好投したわね」
「明るいね!」
「でも、1点取られたらもう負けだからね」
「いやいや、それじゃ1勝もできないから! 悲観しすぎ!」
そんな風にファンを悲観させる戦いぶりを見せてくれているのも確かなわけで。
どうにかそれを払拭してほしいぞ。
「しかし、手が見つからないわね」
「き、きっと、神風が吹くよ!」
「それ、ポジティブじゃないからね!」