「9連戦、6勝3敗と勝ち越したわねー」
腕組みをして頷きながら結乃が言う。
「ようやく投打がかみ合ってきたよね」
理衣も言う。
「いや、噛みあったっていっても、中継ぎと打線が噛みあって、よね。先発は酷い!」
「ああー、まあ、ねぇ」
何せ9連戦中、6イニング以上を投げられたのが3試合、濱口が2試合とピープルズの1試合のみ。
あとは殆どが3イニングももたないような惨状であったのだから。
「打線が上昇したのと、ロングリリーフ含む中継ぎの奮闘で勝ち越したけれど、こんなんじゃシーズンもたないからね!」
「登板数上位が軒並み横浜の投手だもんね」
山崎、砂田、石田、平田と、登板数がかさんでいる。
先発ローテをどうにかしないと、いずれ壊れかねない。
「9連戦を勝ち越したとはいえ、阪神、巨人が相手ではなかったからね」
「そこをどうにか勝たないとね」
「次の6戦、阪神、巨人との6戦は、6連勝よ! 今までやられっぱなしの分をやり返さないと」
「ぶち上げるねぇ」
これまで全く勝てていないのだからなんとかその借りを返したいが、そのためには先発が必要。
6連勝はともかくとしても勝ち越し、悪くてもイーブンは残したい。
だからこそ、先発である。
「この先、どういうローテになるか考えてみましょうか」
「そこをしっかりしないとねー」
「週末の阪神戦からね」
「……あれ、いない!?」
「いやいや、いるでしょ」
「でもこの前の週末3連戦、先発がいずれも3回もたなかったからねー」
「そ、それでも」
中川
ロメロ
ピープルズ
大貫
濱口
今永?
「んー、こうかしらね? 大貫もまだ落としていないから、もう一回チャンス与えるでしょう」
「週末はロメロ投手をついに!?」
「上げないと回らないんじゃない? 一軍練習にも合流したみたいだし、シャッケルフォードには申し訳ないけれど、今のチーム状況を説明して理解してもらうしかないわね」
「中継ぎも厳しいんだけどね。それ以上に先発を整備しないと、だもんね」
「そして今永・・・は分からないけれど、他に誰かいるかしら?」
「無理はしないでほしいけれどね」
二軍で続けて100球ほど投げたし、そろそろか? とも思えるが、果たしてどうか。
「あと先発の可能性は、上茶谷の状態があがるか、京山の状態があがるか、ね。入江を上げる話があったけれど本当に大丈夫かしら?」
「期待はしたいけれどね」
「中川ももう一度チャンスを与えるわけだけど、今までの登板を見ているとねぇ・・・」
「不安ばかり言っていても仕方ないし、応援しましょう!」
というか、それしかできないわけだが。
それでも、5月中に今永も1軍登板できそうだし、ロメロとあわせて期待はしたい。
「とにかく、阪神戦の初戦よ! 中川という時点で、早めの継投もあるでしょうね。石田がロングリリーフ待機かしら?」
「中川投手には思い切って攻めて欲しいよね」
「打たれるのはまだしも、四球連発でランナーためて、ストライク欲しがってドカーン! とかだけはやめて!」
「5回を投げ切ることを全力で!」
5回3失点を希望するが、この際、5回4失点でも良い。
そこまでなら試合が壊れたとも言わないだろう。
但し、1イニング4失点とかはダメ!
むしろ4回3失点でも許すから、頼むよ!