結果:横浜11-9ロッテ
敢闘選手賞:桑原、大和
「はー、なんちゅー試合やってんのよ、まったく」
疲れた表情で結乃が言う。
「いやいやでも現地観戦で勝てて良かったねー」
それでも笑顔の理衣。
何せ5回終了時点で11-2が、ゲーム終了時には11-9まで追い上げられていたのだ。
6-9回の4イニングで7失点。
酷い。
「まあ、あれね。5回で降板せざるをえなかった濱口が悪いわね」
「そこにいくんだ」
「いやいや、中川も坂本も6回まで好投したのに、濱口がこれじゃあね。それで勝ちもつくんだもんね」
「確かに、濱口投手には6-7回は投げてもらいたかったよね」
初回にさくっと三者凡退で、鬼門の初回を抜けたからこの日は良い濱口でスイスイいくかと思いきや。
2回はいつも通り、死四球で無死満塁にしてノーヒットで1失点。
とにかく球数を要し、5回で112球である。
「5回も大和の守備でゲッツー取れて助かったわね」
「大和さんには色々助けられているよねー」
得点圏でもそうだし、本当に。
「まーそれでも11点取ったんだから、中継ぎがしっかりしていれば問題なかったのに」
「最後は三嶋投手まで出てきちゃったもんね」
「国吉と石田は何をしているんだか!」
「お怒りモードだね」
「あんだけ勝ってんだから、四球とか出さずにストライクゾーンで攻めなさいよ!」
二人とも四球でランナーを出して、ランナーをためて打たれる悪循環。
ピンチでエスコバーを出さざるを得ず、回跨ぎしたことでエスコバーも打たれるという。
「1失点くらいなら構わないのに、2人で5失点て、これじゃどこにも投げさせられないわよ」
「うーん、登板回数がかさんで連投もあるけどね」
「だったら2軍と入れ替えなさいよ!」
本来なら、石田、三上くらいで済ませたかったのだろう。
「勝てたからまだ良かったけれど、勝ったのに腹立つ試合だわー」
「でもほら、打線は爆発したし!」
「まーそれもロッテが美馬をひっぱってくれたからね。初戦も先発が3回でおりたし、まだ3戦目もあるからでしょうけれど、あのサービスのお蔭だわー」
「だとしても、きっちり打ったわけだし」
「でも初戦もこの試合も、中継ぎ陣は全然打てていないからね」
「あ、気付いていたね」
6回、7回のチャンスで得点出来ていれば、ロッテの流れを切れたかもしれない。
そういうところもまだまだだし、3戦目につながってしまうかもしれない。
「切り替え! とりあえず、勝って雄洋の引退セレモニーができてよかったわ」
「みんな、石川さんのために! って思いも強かったみたいね」
「どんな挨拶するかと思ったけれど、さすがに無難にまとめてきたわね」
「引退の挨拶でふざけたこと言わないでしょ」
「でもこの試合、初回攻撃でクワのときに石川の応援歌が流れたり、良かったわよね」
「ああいうのはいいよね、おおーっ、てなるよね」
「石川の応援歌は格好良いと思うし」
「本当!」
栄冠はつかめなかった。
挨拶でも、悔しかった、申し訳なかったと。
横浜で優勝したかったと。
「その思いは今のメンバーで成し遂げるのよ!」
まずは。
交流戦の優勝を目指し、ロッテにも勝ち越そう!