結果:横浜10-8広島
敢闘選手賞:オースティン
「しっかし、酷い試合するわよねぇ、お互いに」
疲れた表情で結乃が言う。
「2戦目のお返しをされた感じだね」
理衣もぐったりした感じである。
6点リードで迎えた9回表、エラーもあって4失点と2点差まで迫られ、一打逆転までもってこられた。
からくも逃げ切ったが、買ったことが良かった、それだけである。
「まー、3タテされなくてよかったけどね」
「8-0から逆転されたら凹むよね」
「それもこれも坂本のふがいなさ!」
「5回にいきなりだもんね」
8点のリードをもらいながら、5回を投げ切れない。
実力なのだろうけれど、情けない。
「これが1点ずつ失っての4失点ならまだしも、4回まで無失点で5回にいきなり4失点だからね」
「ちょーっと、よくないよね」
「ちょっとどころじゃないわよ! まあ初回から球数も多いわ、相手の拙攻に助けられていたところもあるけどさー」
「でもやっぱり5回は投げ切って欲しかったよね」
「つーか8点リードあるんだから6回まで投げなさいよ!」
怒りたくなるのももっともである。
これで3連戦、誰一人として5回を投げ切れず。
まあ、珍しいことではないが。
「ローテ変えたけれど、ピープルズは抹消で、坂本だって正直な所期待できる内容じゃないしね」
「でもまあ、予定通りの打ち勝つ試合ということで」
「打ち勝つでいいけれど、9回は山下のエラーさえなければ! 田中俊太といい、守りで出てきてエラーとか意味ないからね!」
「痛い言葉です」
「まー、柴田の復帰で二塁守備は安定しているかもだけど」
「この日は守備機会も多かったしね」
「牧が出られなくて、打撃では落ちるかもしれないけれど守備でその分、貢献してくれればね」
「でもこの試合は四球を2つにヒットも出て、打席でも貢献!」
そういう打撃を続けて欲しい。
「打線は珍しく効率よい得点。というか3回はラッキーヒットが続いたけれどね」
「桑原選手の内野安打、佐野選手の内野安打」
「いずれも当たりが悪くて飛んだところがよくてね。それまで投球内容は大道の方が遥かによかっただけに、野球ってそういうもんよね」
「ランナーが溜まったところで打ってー! って思ったら本当に打ってくれるオースティン選手!」
「これぞ4番、ね! この1打席でオースティンには意味があるわよね」
「連日の満塁ホームランが出るとはねー」
序盤に貴重な得点。
「さらに続く4回は、無死満塁から2死満塁になって無得点で終わりそうな嫌な雰囲気」
「そこをさすが光さん! 走者一掃のツーベース!」
「粘れて、頼りにもなる。素晴らしい!」
「ありがとー!」
6回には佐野のダメ押し2ランも出て、さすがにこれで勝てるだろうと思ったら、最終回である。
「いやー、酷いチーム防御率よね。打線が打てなくなったらお終いよ」
「ここまでなるとはね」
「立て直そうにも駒がないし、オフの補強、ちゃんとやりなさいよ球団!」
「まずはシーズン、ここから上位を目指して!」
最悪の3連敗だけは免れた。
打線は状態を維持しているだけに、その間に投手陣を最低限の状態には仕立てたい。
「ホームが変わったからって言い訳にはできないからね!」
「私達も今度観に行きます!」