「日ハムの新庄新監督が会見したわね!」
遅ればせながらそんなことを結乃が言う。
「いやー、度肝を抜かれたね」
理衣が目を丸くしていう。
格好からして、とてもプロ野球の監督とは思えないもの。
そして会見の内容もまた、かなりぶっ飛んでいるものであった。
「でもそんな中でも、良いなと思ったことも多々あるわよね!」
「ほうほう、たとえば?」
「まずは、優勝はいっさい目指しません、というところね」
「優勝を目指さなくていいの?」
「意味が違うわよね。地味な練習を一日一日積み重ね、一日一日勝利を積み重ね、その結果シーズン終盤に優勝が狙えそうなら狙うと」
「ははぁ、なるほどー」
「シーズン序盤から、優勝するぞー! と意気込んで試合するわけじゃないものね」
「やるべきことをやる、ってことだね」
「多分、どのチームもそういう感じはあるんだろうけれど、きちんと言葉にして表現したというのがいいわよね」
「ふざけているようにみえて、きっちりした地に足の着いた考え方な感じだね」
「もう一つは、人間力を創る部分ね。挨拶とか、そういうところ」
「重要だよね!」
「そういうのがなくても結果を残せる人もいるんだろうけれど・・・」
「でも現役中だけじゃなくて、人生として必要なことだよね」
なんだかんだでそういうところはきっちりしているらしい。
それが新庄という男。
「いずれにしても、パ・リーグを面白くしてくれそうね!」
「どんな野球、シーズンになるか今から楽しみだよね!」
「お客様があってのプロ野球、ファンを呼び寄せる魅力的な球団になるといいわね。もちろん、勝利も必要なんだけど」
さてさて、本当に新庄は公約を全て達成するのか。
その辺も楽しみに見ていきたい。