「キャンプも1クールが終わったわね」
踊りながら結乃が言う。
「観に行けなかったのが残念だね」
無念そうな理衣。
「しかし沖縄は毎年この時期は雨ね!」
「多いよね。行っていたら雨だったね」
「まー、仕方ないんだけどね」
「天気が良いことを祈ります」
「それはそれとして、キャンプも内容が随分と変わったみたいね」
「コーチも沢山かわったしね」
「最下位だったわけだし、同じことをしていても強くなれるわけないしね」
「これが良い方向に変化してくれるとよいね」
投手でいえば1クールはオール直球。
原点であるストレートに磨きをいれようということか。
「直球が速くない投手だって、キレのよい直球をコースに決めればそう打たれないからね」
「三浦監督みたいにね!」
「この辺は隆とかもふくめて精力的に動いているみたいね」
「隆さんが元気です!」
そして野手では、石井が選手にバットを振らせている。
守備も、若手には特に基礎を固めさせているみたい。
「そうそう、ちゃんとバットを振りなさい!」
「森選手もキツイっていっているね」
「若いのに何を言っているのよ! 石井が現役時代の練習はこんなもんじゃなかったはずよ」
「金城選手が吐きそうだったらしいしね」
それでも、そういう少しでも厳しくなってきた練習が、選手たちの力になれば。
「長く練習すればよいわけじゃないでしょうけれど、きちんと質のある練習を、量も積み重ねる。これ大事よね」
「練習内容も、昨年までと違うしね」
実戦を想定した走塁練習から始まったり。
厳しいだけじゃなく、科学的な分析に元ずくトレーニングもいれたり。
硬軟織り交ぜてやっているみたいである。
「2クール以降も、期待しているわよ! ただ、コロナだけには気を付けて!」
「仕方ないけれど、感染者が続出しているもんね」
それでも。
期待できそうに思える1クールでした。