「いやー、酷い試合だったわね」
すがすがしく結乃が言う。
「大敗だったねー」
なんとも言いようがない理衣。
とにかく、内容的にもかなり酷い試合だった。
「初回、由伸から3連打でいきなり先制したまではよかったんだけどね」
「あれは見事だったね!」
桑原が出塁し。
楠本がエンドランを決めて1,3塁。
そしてオースティンが先制タイムリー。
「ただその後、牧も続いて無死満塁から無得点に終わったのが駄目だったわね!」
「そのあとの宮崎選手がねー」
「内野ファールフライとか一番駄目な奴! 最悪、ゲッツーでも1点入ったのに!」
「あれで流れが変わったかな?」
「とはいえ、銀二だってあまり言い訳できないわよ!」
先発はルーキーの三浦銀二。
初回を無失点に抑えたまでは良かったが、2回は1死しかとれず5失点で炎上、降板した。
「内容もね、四球連発で押し出しの後、置きにいった球を狙い撃ちされて走者一掃とか、教科書通りか!」
「厳しい授業になったね」
「てかコントロールがうりじゃなかったの? あんな四球連発して」
「あれを機に四球祭りだったね」
出すわ出すわ、合計13の四死球。
「中川なんて4連続四球だったのにその時点で無失点とかあったしね」
「そのあとに失点しちゃったけれどね」
「ただエスコバーは四球もあったけれど、それ以上に打たれていて心配ね」
「うーん、そういう日もありますよ!」
とにかくこの日の投手陣はみな、狂っていたように制球が落ち着かなかった。
「そんな中でもポジ要素を探すなら、池谷、タナケン、入江はよかったわね」
「三浦選手の後を継いで出た池谷選手が無失点、健二朗さんもエスコバー投手が降板した後を無難に抑えました!」
「さすがに全員が炎上じゃ困るわ」
「入江選手が良いボール投げていたね!」
「先頭にいきなりストレートの四球の時は、おまえもか! と思ったけれど、そのあとは良かったわね」
「ストレートに勢いと強さがあったよね」
「あの球なら十分、中継ぎ主力でいけるわよ。あとは制球よね」
伊勢もぴりっとしなかっただけに、入江に期待が持てたのは良かった。
「打線は10安打で1点と、昔に戻ったみたいね」
「すべての試合がうまくいくわけはないよね」
「まー、初回がアレでおわっちゃったのが全てよね」
「それでもオースティン選手にヒットが出たし、ね」
ポジ要素が全くなかったわけではない。
全ての試合がうまくいくわけもなく、この試合をもとに何を見極めてどう修正するか、だろう。
「とりあえず、2軍の方で阪口が好投したらしいので、むしろそっちに期待するわ!」
「そういう交代も今後、出てきそうだね」
今、一軍だからと油断しないように。
そういえば伊藤裕季也、この試合は打ちあげても全力で走って2塁までいきましたね。
ちゃんと直しているところ、良いですよ!
1塁の守備も意外と上手でしたね。