「ようやく、新外国人のクリスキーが来日したわね」
落ち着いた口調で結乃が言う。
「どうなるかと思ったけれど、無事にこられて良かったです!」
理衣も胸をなでおろす。
これで、開幕前の選手は全員そろったことになる。
あとあるとすれば、育成選手の支配下登録があるかないか、か。
「これから調整を考えるとはやくて4月の途中で一軍だけど、そこまで焦らず2軍でしっかり調整して欲しいわね」
「昨年のロメロ投手も、2軍で再調整して1軍にあがってから良くなったもんね」
「日本の野球に慣れること、サインプレーとかクイック、牽制とかもどうなのかわかんないしね」
「幸い、今年は他の外国人選手がちゃんとキャンプから参加できているしね」
どこまで練習をできているのかもわからない。
体がきっちりできているのかもわからない。
日本での実績があるわけでもない。
二軍で大家コーチのもと、きちんと仕上げ、日本野球に適応できている状態になり、一軍で通用すると判断して上げてほしい。
「抑えは三嶋、康晃というところでしばらくはいくしかないわけだし」
「二人も、昨年の悔しさを晴らす気合でやるだろうしね」
「もちろん気持ちだけでどうにかなるわけではないけれど、二人とも実績あるわけだし」
「あとは外国人選手の登録人数の絡みだよね」
チーム状況とこれまでの実績から決めるであろうが。
「何はともあれ、圧倒的な奪三振率を誇っているわけで、そこには期待したいわね」
「制球に不安もあるけれど」
「パーフェクトな投手がそうそう日本に来ないでしょ!」
「まあ、ね。とにかく、はやくチームに慣れてほしいね!」
来日できない間も、オンラインでチームメイトとやり取りはしていたし、ある程度、横浜というチームに良い印象はあると思いたい。
後は実際に人と触れ、仲良くなってほしい。
環境が、実力を十分に発揮させる重要な要素であることは間違いないのだから。
「はやく投げている所がみたいわね!」
「待っています!」