「来週にはいよいよ現役ドラフトが行われるわね」
結乃が神妙に頷きながら言う。
「初めての試みだけに、どうなるか予想がつかないね」
理衣も少し困惑した表情である。
各球団、必ず誰か一人は出て、誰か一人は入ることになる。
そのチームではなかなか出番のない選手を、ということだが、果たして誰を選択するのか。
「最低、2名以上は選んで出すけれど、誰でも良いってわけじゃないのよね」
「年俸とか、FAとか、そういうのだよね」
「それもあるけれど、出した選手で一番指名を多く受けた選手の球団から指名権を得るってことだから、どの球団も欲しがらないような選手を出すと最後まで指名権がまわってこないかもしれないわけで」
「うーん、悩ましいね」
球団として、戦力外に近い選手を出せばよいというものではない。
そもそも、それでは趣旨に反する。
「12球団それぞれが、どういう思いで選手をリストに載せてくるか、ね。まあ、公表されないんだけど」
「公表されたら選手としてもちょっと気まずい感じもするしね」
「球団もね」
「うー、ドキドキする!」
「あたしの予想としては、投手1人、野手1人をリストアップするのかなぁ、って感じね」
「さすがに名前は出せないよね?」
「ここで名前を出すのも失礼だしね」
「誰が出ていっても寂しいけれど、他の球団の方が活躍の場あるのなら、って感じだよね」
泣いても笑っても1週間後。
さて、どうなる??