「4位巨人にも0.5ゲーム差と迫られて、いよいよBクラス転落ピンチよ!」
結乃が腰に手を当てて言う。
「チーム状況は上向きません!」
悲痛な表情で理衣は言う。
7月が終わって貯金が3なのだから、決して悪いわけではない。
しかし、前半で作った貯金をこの7月で食いつぶして3まで落ちてきての勝負の夏場なので、上昇イメージがわかないのだ。
まずは打線が相変わらずつながらない。
つながらない以前に、ヒット、出塁も少なく、得点力が低い。
投手陣は、今永、東、バウアーの3本柱以外が安定しない。
というか、3本柱以外ではほぼ勝てていない。
そして3本柱とはいえ毎回零封できるわけではないし、得点力が低いから勝てるとも限らない。
だから勝ちにつながっていかない。
「うーん、詰んでいるわね」
「いやいや、諦めないで!」
「でも、ここからどうしたもんか、案が思い浮かばないわよね」
「苦しいねぇ」
とまあ、そんな状況なわけだけど。
それはそれとして疑問なことがあるわけで。
なんで、選手を使わないのか。
ここで言う選手とは。
・2軍から1軍にあげてきた選手
・支配下登録した選手
・トレードで獲得した選手
「もちろん、一軍で即戦力と見込んでいないとか、他の一軍選手より劣ると判断しているのかもしれないけれど」
「難しいところだよね、それで起用して結果が出なかったら、やっぱり、ってなるし」
「でも、いずれも一軍で戦力と見込んだからあげて、支配下登録して、トレードで獲得したんじゃないのかしら?」
「まあ、ねえ」
2軍で出場するだけなら支配下登録は必要ない。
西浦だって代打のために獲得したわけではあるまい。
梶原も、せっかく良いところを出し始めたところでスタメン剥奪して代打だけ。
「チームの戦略、戦術が分からないのがモヤモヤするのよね!」
「これで、チーム状況が良くて首位を追いかけている状態ならまた違うんだろうけれどね」
「そうね、結局はプロなんで、結果に結びついていないから色々と言いたくなっちゃうのよねー」
「まあ、そうなるよね。当然、チームとしての考えをもっての選手起用ではあると思うんだけど・・・」
しかし愚痴ばかりを言ってもペナントレースは待ってくれない。
今の戦力でどう勝っていくかを考えるしかない。
今の選手たちに奮起してもらうしかないのだ。
「マジで頼むわよ、こんな猛暑なのにお寒い8月にしないでほしいわ!」
「あつく、燃える8月に!」
こっちは応援するしかないのですから。