「さてさて、中継ぎの話をしたけれど、次は野手ね」
結乃が偉そうに言う。
「今回も試合の話はパスです」
理衣が頭を下げる。
とりあえず、チームが勝っていてくれることを願うくらいしかできない。
「投手より野手の方がヤバイわよね」
「さんざん、言っているよね」
「昔も鈍足ばかりだったけれど、ＨＲがあったから爆発力があったのよね」
「確かにね」
全員が揃っていた、というわけではないけれど。
筒香、ロペス、宮崎、ソト、オースティン。
そこに梶谷も時に入ったりして。
今は牧、宮崎、ソト、佐野。
ソトは衰え、他の三人はそもそも中距離打者。
それで鈍足具合は昔と変わらない、というかより落ちているのだから、得点力も爆発力も低くなる。
「それでいて出塁率が高い、足が速い、小技が出来る、野球脳が高い、そういった選手が出てきていないからね」
「出塁がないままクリーンナップに回っても、ってところだね」
「１、２番問題はいつになっても解決せず、ってね」
「そう簡単にいるもんじゃないってのは確かだけどね」
スモールベースボールを目指したけれどまったくできなくて。
主軸の打撃に期待するだけの野球も、そもそも長打力は以前ほどなく。
となれば、攻撃力が低いのも頷けるというもの。
「マジでこれ、今後どうするつもりなのかしらね。楽しみな若手も出てこないし」
「梶原選手が怪我しちゃったしね」
「ドラフト戦略の失敗でしょ。まあ、育成が出来てないからってことになるのかもだけど」
「悩ましいね」
期待している森がいまだ台頭せず。
楠本、蛯名、梶原といったドラフト下位で獲得した外野手は結局のところ下位なりの成績しか今のところ出せず。
宮崎の後釜狙いの小深田も成長せず。
「手詰まり感よね。こうなるとドラフト上位で大卒、社会人卒の野手をとるか。でも即戦力の先発も必要だからね」
「ここ数年、野手、先発投手で主力になっているのが牧選手だけだから、ね」
「伊勢と入江は中継ぎだからね。とにかく外野のリードオフマン、宮崎の後釜、ショート、長距離砲、どれもが足りないわよね」
「まあ、全部が足りている球団なんかなかなかないんだろうけれどね」
宮崎は年齢的なところもあるし、本当に、牧一人だけしかいない地獄のようなスタメンになってしまうぞ。
そうなる前に、期待のもてる若手が出てきて欲しいのだけど、今は見当たらない。
マジで、誰か育ててくれよ。
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