2023年戦力外通告②　38：田中 俊太　移籍後の開幕戦の華々しいデビューは忘れない

「俊太かー」
微妙な物言いをする結乃。

「期待に応えられなかったね」
理衣は残念そうに言う。

梶谷の人的保証で獲得した田中俊太。
開幕戦の巨人戦で華々しい横浜デビューをした。
しかし残念ながらその試合も勝ちに繋がらず、さらには本人の活躍もその１試合で終わってしまった。

「まあ、全く活躍せずに終わるよりは良かったということで」
「雑だなぁ」
「しようがないじゃない、一軍でもそんなに出ていないわけだし」
「俊足巧打のユーティリティな内野手として期待したんだけどね」

結局は、どれもこれも中途半端で一軍で通用する何かがあったわけではない、ということか。
こういう選手も必要ではあろうが、あくまで控えとしていてくれたら嬉しいレベル。
何か一つでも尖っているものを持っている選手とかのほうがよくないか。
というのは、外野が勝手に思うところか。

「なんか、三浦体制になってから、そういう中途半端に足がそこそこ速くて守備もそこそこで、みたいな選手が増えたような」
「た、たまたまじゃない？」
「もうちょっと何かスケールの大きい選手がいいわよね」
「そういう選手が簡単に獲れたり、育成出来たら、苦労しないよね」

他の球団を見ると、若手にもロマンを感じる選手が出て来たりしているが、なんかベイスターズは全般的に小粒に見える。

「って、俊太から完全に話がそれたわね」
「とにかく、ベイスターズにきてくれてありがとうございました！」
「兄がまだ頑張っているけれど、どうするかしらね」
「どうするにしても、自分が思う道に進んでもらえればと」

あの開幕戦の活躍が続けば、とは思いますが、そうそううまくはいかないものですね。

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