「池谷、残念ね」
結乃が無念そうに言う。
「中継ぎとして期待してたんだけどね」
理衣も残念そう。
もともと中継ぎとして獲得。
ルーキーイヤーの一年目には実際によさそうなところを見せてくれたのだが。
「一軍でもそんな悪い内容じゃなかったのよね」
「序盤に出ていたよね」
「確かランナーが出た時の投球に課題があって二軍に落ちたのよ」
「癖が読まれていたのか、盗塁をされてね」
そこの課題さえ潰してくれればと思っていた。
投げる球も勢いがあって良かったように見えた。
しかしなぜか、いつごろからか横手から投げるような変則左腕に。
球威や球速は随分と落ちていたようにも感じた。
「詳細は分からないけれど、なんで投げ方を変えていったのかね」
「 まあ、それも生き残るためなんだろうけれどね」
「ただ、結果には結びつかなかったわね」
「まだ若いんだけどね」
高卒社会人の3年目で年齢的には若い。
ただ、ドラフト5位と上位ではなく、即戦力の中継ぎを考えていたということを考えると、致し方ないのか。
「左腕では石川が出てきて、櫻井もいるしね」
「まあ、誰かを出さないと新しい人を入れられないのもあるしね」
「その辺の兼ね合いよね。キャラ的には面白そうだし楽しみだったんだけど」
「入江投手とあわせてね」
ファンフェスで入江とコンビを組んで見せてくれたのも懐かしい思い出である。
「次にどうするか分からないけれど、まだ若いんだからなんでもできる!」
「応援しています!」