「宮國は巨人時代の印象が強烈でね」
結乃が懐かしむような表情を見せる。
「凄い投手が出てきたと思ったよね」
理衣も頷く。
他の球団相手にどうだったかは覚えていないが。
少なくとも横浜戦では素晴らしい投球を見せて、打てる気がしなかった記憶しかない。
こんな投手が今後何年間もいるのかと、本気で悩んだものである。
「それがどうして、大成しなかったのかしらね」
「それがプロの難しいところだよね」
「若い時に凄いものを見せても、その後も順調に成長するとは限らない、か」
「そうしてなんの因果か横浜にきたんだね」
巨人を戦力外となり、横浜が中継ぎ要員補強で獲得。
ある程度の期待には応えてくれた。
「巨人時代の投球はなりをひそめ、速球も変化球もなんかそれなり、になったのが悲しかったわ」
「それでも経験を活かして頑張ってくれました」
「ただビハインド、ロングリリーフだと、やっぱかなりの成績を残してくれないとね」
「立場的に厳しいよね」
年齢的にも31歳。
ならば若手を起用したいし、右腕では宮城が出てきた。
「ファンフェスなんかでは、凄く気の良いお兄ちゃんって感じだったけれどね」
「入江投手のギャグにつきあってくれていたね」
「本人もなんとかしないといけないと思って、オフにも外国に赴いたんだろうけれどね」
「それでも、横浜に来てくれてありがとうございました!」
果たして現役続行を目指すのかどうか分からないけれど。
悔いのない道を。