「森の横浜入団会見が行われたわね」
結乃が頷きながら言う。
「ようこそ、ベイスターズへ!」
理衣も拍手している。
ソフトバンクから戦力外になったところを獲得。
チームとしては先発起用を考えているとのこと。
今永、バウアー、石田、最大3枚の流出が考えられる中、先発の補強は必要。
戦力としてもちろん考えているが、それ以上のものもチームは求めているだろう。
「何せ常勝、ソフトバンクで何度も優勝を経験した中でのクローザーだったわけだからね」
「勝者の魂というか心得みたいなものを持っていそうだよね」
「そういった経験や心構えとか、そういうものも当然、チームに与えて欲しいわけよね」
「何せ優勝経験者がいませんからね・・・」
優勝チームの主力が、それもまだ31歳という若さで完全に力を失ったわけでもない状態でやってくる。
これはなかなかないことだろう。
「先発としてうまくいかなかったとき、中継ぎできるのも大きいわよね」
「両方経験があるってね」
もちろん、そんな簡単なものではないかもしれない。
ソフトバンクの見切りが正しく、そこまで戦力にならない可能性はある。
それでも、経験で積み上げたものが失われるわけではない。
「ファンフェスで早速モノマネした上茶谷へのコメントも忘れていなかったわね」
「あれは・・・ねぇ」
「上茶谷は、終わった、って言っているみたいね」
「あはは」
まあ、さっそく弄ってくれて、チームに早く馴染んで欲しい。
そしてプレイで率先してほしい。
見た目はいかついが、プレーや仲間に対する行動は確かなものがあると聞く。
是非、優勝のためのピースになってくれ!