「盗塁、走塁の話が出ていたわね」
大みそかに関係なく、そんなことを言う結乃。
「石井コーチがYoutubeの名球会チャンネルに出演したやつだね」
理衣も頷く。
もうずっと、ベイスターズの課題として言われていた、「走塁」
石井琢朗が入閣した時からその改善を期待されていたが、なかなかそう簡単にはいかないのが現実なわけで。
「球団としても、そういう選手の必要性は感じていて、どうにかしようとし始めてはいるのよね」
「練習であったり、選手の獲得であったりね」
「とはいえ石井も言っているけれど、盗塁や走塁は足の速さだけじゃなくセンスの部分が大きいらしいわね」
「もちろん、技術的に教えられる部分もあるんだろうけれどね」
実戦で走るとなると、相手もいる。
盗塁であれば投手のクイックや癖、投球術や球種、キャッチャーの肩や送球制度。
走塁であれば相手の守備位置や守備の性格、中継プレイにおける内野、外野の位置取りや連携。
そういったものを総合し、「いける」と判断して思い切っていけるか。
足が速い選手だけなら、以前からいるけれど、そう簡単にはいかない。
さらに一軍定着するなら、打撃や守備も必要なわけで。
「そんな中で石井が面白いとあげたのが、育成の村川ね」
「もともと、足のスペシャリストを期待しての獲得だもんね」
「二軍で打撃も向上させ、盗塁もして、と結果は出してきているからね」
「足は凄いけれど、守備が悪いらしいね」
ただ、盗塁の確実性や、その時を見抜く力がつけば、本当に走塁面の選手としてあがる可能性は秘めている。
「そろそろ一人くらい出てきて欲しいわよね」
「他に、梶原選手が面白いって言っているね」
「いい感じだと思ったら怪我しちゃったからね。なんとか出てきて欲しいわね」
「候補からの脱却を期待します!」
2024年、誰か頼むぜ。