「自主トレでチーム厚木も始動したわね」
結乃が重々しく言う。
「恒例の山登りからだね!」
理衣も明るく言う。
三嶋、山崎、石田、伊勢、入江、石川。
主に中継ぎを担う面々である。
「その中で、山崎が新しい球種を取り入れることを言っているわね」
「ストレートとツーシームだけでは厳しいよね」
「ってのは前々から言われていたけれどね。今年こそ本気でやって欲しいわね」
「使える球種が増えれば、攻め方も変わるしね」
ツーシームも見極められ、ストレートも圧倒的というほどではない。
それだけが理由ではないだろうが、実際に苦戦している。
「スライダーかカットを狙っているみたいね」
「ナックルは使わないのかな」
「あれはまあ……置いておいて。とにかく、ちゃんと決め球としても使えるくらいにしないと意味ないからね」
「追い込んでおいて、これもあるかも、と思わせるのは大きいよね」
このところのツーシームは投げた瞬間にボールと分かったり。
そうでなくてもツーシームと分かって打たれたり。
そういうのが多いから。
「ただ投げられる、だけじゃだめだからね!」
「ワンランクアップすることを期待しています!」
さて、どうなるか。
またしてもシーズン始まったら直球とツーシームだけ、なんてことにならないようにしてもらいたいですね。