「山本がゴールデングラヴを受賞したわね」
結乃がニュースを見て言う。
「おめでとうございます!」
理衣が拍手する。
とうとう、山本も単独で賞をとるようになった。
昨年は東とセットだったが、今シーズンは正捕手として活躍してくれた。
「独立リーグ出身者の受賞も初めてだってね」
「それも含めて愛でたいね。独立リーグの選手のやる気にもつながるよね」
「日本代表候補にもなったし、本当に飛躍の年ね」
「怪我しちゃったのは残念だけど、活躍が薄れるものではないもんね」
今シーズンに関しては文句なしの受賞だっただろう。
「でも決して安泰なわけじゃないわよ。CSから日本シリーズでは戸柱が存在感を出し、松尾も良いものをみせてくれたしね」
「レベルの高い争いは嬉しいけれど、悩ましいところではあるね」
「激務のポジションだから併用はアリとしても、メインのポジションは渡すわけにはいかないわよね」
「でも、ライバルがいるからこそ上達もするわけだしね」
今度はチーム内で追われる立場にもなる。
本人としてはそういうつもりはないかもしれないが、そう見られる。
「それでも負けずに実力をみせて正捕手を渡さないようにしないとね」
「誰もみんな、試合で見たいんだけどね・・・」
他の選手が受賞できなかったが、失策数がリーグ断トツではまあ、当然でもあろう。
来シーズン、誰かが受賞してくれることを期待しましょう。