「2025年の春季キャンプも完全終了ね!」
結乃が両手を突き上げながら言う。
「横浜にも帰ってきたみたいだね」
理衣も頷く。
2024年の日本シリーズ優勝の効果か、キャンプの見学者も昨年から1.5倍の4万2803人が訪れたという。
この数字をどこから拾ったのかはわからないが、やはり勝つとお客さんは増えるということである。
「天気が悪くてずっと寒かったけれど、それでも人は多かったものね」
「ファンが多いと選手もやる気が入るだろうね」
「まあ、少しばかり迷惑なファンも多くなりそうだけど」
「あはは・・・」
例年のことではあるが。
ホテルの中(エレベーター前)やホテル出入り口で選手を待っている人も多く。
どうなんだろうなぁ、と思ってしまうことも度々あったり。
「そんなこともあったキャンプ、さて、成果はこれからなわけだけど」
「順調な選手も数多く見られるね」
「まあね。変わった点といえばやっぱり走塁面での意識は更に高まった感じはするわよね」
「先の塁を狙う姿勢だね」
河田コーチが参入したことで、昨年度から更に走塁改革に挑んでいる。
キャンプの練習でもその姿が良く見られた。
「足の速さがあがるわけじゃないから、やっぱり判断力とか、意識面よね」
「でも、それが高まれば進塁出来てチャンスが広がり相手にはプレッシャーを与えられるわけで」
「何年も前からの課題が、ようやく大分とよくなってきている、のかしらん?」
「オープン戦ではそういう姿が見られたよね」
課題面のもう一つは守備。
キャンプでは取材禁止、見学禁止の練習も行っていたが。
とはいえ、ほんのわずかですぐに向上するはずもなく、実戦でもイマイチなミスが結構見られた。
「守備力はマジでどうにか向上して欲しいわよね。捕って投げるだけじゃなく、判断力とか含めてね」
「やっぱり他のチームの守備と比べると、そう思うところが多いよね」
「ちょっとレベルがね、違うから。せめて普通位になってほしいわ」
「守備力は地道な練習であるレベルまでは向上するはずだからね」
キャンプの練習では相変わらず守備練習は少なく見えたが。
どこか見えないところでやっていたのならば良いけれど。
本気でリーグ優勝するためには、全てが必要なんですからね!