「阪神は当然ながら青柳を先発させてくると思うけれど、その時の横浜のオーダーがどうなるかね」
結乃が腕を組みながら言う。
「難敵だもんね」
理衣も頷く。
今シーズンの投手3冠であり、横浜としても数年来負け続けてきた相手。
しかし今シーズン中、青柳が比較的苦手とする左打者を並べることでどうにか試合に勝ってきた。
「果たしてCSでも宮崎、ソトを外すオーダーを組んでくるかどうか、ね」
「シーズン中はそれでうまくいったもんね」
「とはいえ打ち崩したわけじゃないのよね。まあ、球数投げさせて速いイニングで降板させるようにはできていたけれど」
「どちらにしても難しいね」
長いシーズン中であれば、試してみるというのもある。
失敗してもまだ取り返せるからだ。
しかしわずか3戦しかないCSでは1試合の失敗が大きい。
「主軸である二人を外すのか、あるいは組み込むのか」
「それと捕手もどうするかだね」
「対青柳を考えると戸柱だけど、今シーズンの今永は嶺井と組んで結果を出しているしね」
「でも青柳投手の時は戸柱選手ともバッテリー組んでいたよね」
シーズンと同様に左打者メインでいくならば、
1、桑原(センター)
2、神里(ライト)
3、佐野(ファースト)
4、牧(セカンド)
5、楠本(レフト)
6、戸柱(キャッチャー)
7、柴田(サード)
8、森(ショート)
9、今永(ピッチャー)
「これなら7人左が並ぶわけで」
「牧選手は右でも青柳投手と相性悪くないし、桑原選手は守備的に外せないよね」
「あるとしたら、宮崎を入れるか、かしらね。柴田にしたところでたいして打つわけじゃないし」
「酷い言いようだね。うーん、どうだろうね」
首脳陣も色々考えているだろう。
宮崎、ソトを外して失敗したら、なぜ二人をスタメンに入れないのか文句を言われるだろう。
宮崎、ソトを入れて失敗したら、なぜシーズン中にうまくいったことをやらないのか文句を言われるだろう。
「ま、どちらにしても勝てばいいのよ! 今永が完封すればいいってわけ!」
「前向きなんだか、どうなんだか・・・」
「いや、どっちにしても今永が青柳がする失点以下に抑えることが前提だからね」
「まあ、それはそうなんだけど」
シーズン中、阪神戦で炎上もした今永だが、後半戦はどのチーム相手でも安定していた。
その状態をキープして、このCSでも力を発揮してくれることを祈る。