■2018年3月18日 横浜DeNAベイスターズvsオリックスバファローズ
オープン前とはいえ今日の試合は大事だと結乃は理解していた。
今日の先発投手は飯塚、開幕ローテーションに入れるかどうかを占う重要な試合となる。何せ今永、濱口、ウィーランドが離脱している。いずれも重症ではなく、4月の2週目、あるいは中旬頃には戻って来られるのではと言われているが、それは最も良いパターンの場合である。
最悪の場合を想定しておくと、4月いっぱいとか、さらにその先も継続しないとは限らないのだ。
となると石田、井納、東の他に誰がローテーションに入るのか?
それを見極めなくてはならない。
「一発くらったとはいえ、それ以外は安定していたものね。なんといっても四球を出していないから球数も抑えられていたし、合格点ね」
偉そうに胸を張る結乃。
実際の所、6回を投げて被安打3、四球0、失点1なら文句なしだろう。
「じゃあ、開幕ローテーションの座は」
「まあ、ほぼ確定でしょうね」
「うわー、よかったね、飯塚くん」
「ローテに入るだけじゃ意味ないのよ。そこで結果を残して初めて、ローテに入った意義が出てくるんだから」
厳しいことを口にする結乃だが、それでも頬が少し緩んでいる。
待ち望んでいた若手の先発右腕なのだ。
「残りはバリオスかしらね。井納の調子が分からないけれど、駄目そうなら熊原もいるし、開幕ローテもなんとかなりそうね」
「一安心だね」
去年の柱が三人も離脱したと聞いたとき、さすがに理衣もまずいと思ったのだが、こうして揃えられたのでほっと胸を撫で下ろす。
「安心じゃないわよ。実績があるのは石田と井納だけ、あとはまだどうなるか分からないのばかり、単にローテが埋まりそうってだけなんだから」
そう言われると、理衣も言葉に詰まる。
確かに、三人がいても楽な戦いというわけではない。ならば、更に厳しい戦いになることを覚悟せねばなるまい。
「今日は他の投手も良かったよね。打線の方はどうだった」
「相手の山岡も良かったから、なんともいえないわね。まあ気になるといえば、大和がまたエラーしたことかしら。疲れているんじゃないかしら、スペ体質という話だし」
「まだオープン戦なのに……」
「いずれにしても、今日は本当に大事な試合だったけれど、良かったわ」
「飯塚くんだね」
「そうだけど、それ以上にこの先の天気があやしくて横浜での試合が中止になりそうなのよね。試合をする、ということ自体が大切だったのよ」
「うわぁ、確かに、数少ない横浜でのオープン戦が雨とか」
「チケットもよく売れて、せっかくの売り上げがねぇ」
「現実的だなぁ……」
3月18日の試合結果
●バファローズ 1-3 ○DeNA