2018年振り返り #25 得点圏の逆鬼から脱出せよ! 筒香 嘉智
「キャプテンとして頑張ってくれた筒香選手だけど・・・・?」
おそるおそる、といった感じで問いかける理衣。
腰に手を当て、仁王立ちした結乃が理衣をキッと見据える。
「それとこれとは話が別よ! 分かっているでしょう、筒香!?」
目を吊り上げて言う結乃。
2018年、筒香の成績はこうなった。
#25 筒香 嘉智
出場試合 : 139
打数 : 495
打率 :.295
安打数 : 146
HR : 38
打点 : 89
盗塁 : 0
得点圏 :.237
「数字は悪くない、よね・・・・?」
首を傾げ、またしてもおそるおそる言う理衣に対して。
「見た目はね。でも、騙されちゃ駄目よ!」
一刀両断にする結乃。
「確かにHR38本も打っているけれど、2017年はそれより10本も少ない28本で94打点だったのよ!?」
「それより2018年は打点が少ないんだ・・・・」
「バレンティンなんか、131打点よ!? 40打点以上も違うって、貢献度が違いすぎるでしょう」
「た、確かにね。4番の価値は、打点をいかにあげられるかとも言うしね」
「それも、意味のある打点よ!」
多くのファンが感じていたであろうが、今期の筒香はチャンスで打てなかった。
それが得点圏打率、そして打点に現れている。
「何せリーグ最低の得点圏打率だからね」
「そこまで酷かったんだ?」
「そうよ。今季、良いところで打ったのって、広島戦での逆転満塁HRだけじゃない?」
「いや、さすがにそれ『だけ』ってことはないでしょ」
とはいえ、それくらい印象が薄かったのも事実である。
「もちろん、厳しいマークにあったり、中軸以外が打てないからその分厳しく攻められたりとかあると思うけど、そこを打ち破ってくれないとね」
「まあ、求めるものは高くなるよね」
それだけ期待されているということであり、背負っているということでもある。
昔の筒香ならいざ知らず、今の筒香では2018年の数字では物足りなく思うのは事実なのだ。
「まあ、優勝できずAクラスにも入れず、本人だって捲土重来を期す思いはあるでしょ」
「2019年もまたキャプテンを受けたってことだしね」
「筒香ももう10年選手、力も乗り切っている時期に入るからね。ここでキャリアハイを残して優勝、といきたいわね」
「ロペス選手もベテランだし、宮崎選手、梶谷選手も30代だしね」
「そう、若いチームと言われているけれど、野手の主力はもうそんななのよ。悠長な事言っていられる状況でもないんだからね!」
投手の充実を前面に押してきたから、先発、中継ぎ含めて投手陣は20代前半~半ばが主力。
しかし、野手陣は20代後半~30代前半が主力となってきている。
若い野手が伸び悩み、今のうちにどうにかしないといけないのだ。
「筒香も、メジャーに行きたいなら成績残して、チームとしても結果を出して、気持ち良くいかないとね!」
「え、メジャー行っちゃうの?」
「分からないけれど、メジャー志向はあったわよね。ただ、今の力じゃ難しいわよ。速い球を打てないとね」
速球系に弱い筒香。
日本の野球も年々、球速が上がってきており、野手も対応しなければ生き残れない。
それは筒香とて同じこと、だから毎年のようにフォームを試行錯誤している。その考える力と、変化を恐れず前に進む力は間違いなく持っている筒香。
「ということで、2018年は65点! 2019年こそ、誰にも文句を言わせない成績を叩き出しなさい!」
「50本、120打点!」
大きな数字だが、無理ではないはずだ。
横浜に輝く大砲なのだから。
大きな夢を乗せてかっ飛ばして欲しい。