2018年振り返り #33 もっと成長を見せてくれないと 乙坂 智
「乙坂・・・・代わり映えのしない成績ねぇ」
「いきなり辛辣だね」
「1軍に出て来た時は期待したんだけどね」
悩まし気な表情を浮かべる結乃。
乙坂、2018年の成績は以下の通り。
#33 乙坂 智
出場試合 : 73
打数 : 93
打率 :.204
安打数 : 19
HR : 0
打点 : 7
盗塁 : 3
「う、うーん、確かに、ちょっと」
数字を見せられた理衣も、言葉に困っている様子。
「なんていうか、こう、こう・・・・っ!!」
拳を握りしめ、口を開き、何かを言おうとするがうまいこと言葉が出てこない、そんな感じの結乃。
「初打席でHRを放ったあの千葉マリン、あの時は将来が楽しみと期待したんだけどね・・・・」
「ま、まだ若いよ!?」
「そうだけど、なんか成長が感じられないのは気のせい?」
打撃、守備、走塁。
いずれにしても物足りない。
「なんだろう、センターとか守っていると怖いし、足は遅くないけれど速くもない。走塁センスもなんか感じないし」
「手厳しいねぇ」
「横浜が好きってだけじゃあ、どうしようもないわよ」
横浜高校出身、ベイスターズが好きで、ベイスターズに入りたいとプロを目指した乙坂。
そんな気持ちを持った選手が入団してくれているのは本当に嬉しいことだ。
「だからといって、プロは実力よ! このままじゃ埋もれて終わりよ!」
「外野は激戦だしねぇ」
左打ち、そこそこ足が速くてそこそこパンチがある。
そういう外野手が溢れているといっても良い。
啓二朗、荒波が残念ながら戦力外となったが、関根、楠本、宮本、神里、似たようなライバルは多い。
「海外で武者修行も良いけれど、その結果を日本で出してくれないとね」
「2017年、CSでは良い活躍してくれたけれど・・・・」
「一時的に活躍するラッキーボーイだけじゃ意味ないでしょ。このままじゃ淘汰されるわよ!?」
「ニコさんも人気あるんだけどね」
「ということで、20点よ!」
高らかに宣言する結乃であった。
「前述したように、同じような外野のライバルは多く、しかも同世代から年下、もうそんなに猶予はないわよ」
「本当に若いチームだもんね」
「応援歌がチーム内で独特、ロッテみたいな応援歌だって調子に乗ったら駄目よ!」
「いや、そんなことで調子に乗らないでしょ・・・・」
苦笑いする理衣。
「まずは外野の控えからでしょうけれど、それでも開幕一軍の切符はなかなか厳しいわよ。最初から筒香、ソトがいて、怪我さえなければ梶谷だっていて、守備的には桑原が抜けている」
「そんな競争を勝ち抜かないとね!」
「愛する横浜のために、もっと死ぬ気で、野球脳を鍛えなさい!」
横浜の誇りを抱いて戦え、ニコ!