2018年振り返り #45 怪我を治して同年代とハイレベルな切磋琢磨を 綾部 翔
「綾部投手、2018年は怪我で登板がなかったね」
残念そうに眉をハの字にする理衣。
「まだ若いし、無理するところじゃないわよ」
鷹揚に構える結乃。
登板がないのだから、成績は以下のようになる。
#45 綾部 翔
当番試合 : 0
投球回数 : 0
防御率 : -
勝利 : 0
敗北 : 0
セーブ : 0
ホールド : 0
奪三振 : 0
「ということで、点数はなしで!」
「まあ、つけられないよね」
「これが実績もあって成績を期待していた選手なら0点にするところだけど、まだ高卒3年目だからね」
「2017年のシーズン最後に1軍で勝利をあげて、楽しみだったんだけどね」
「上背もあるし、楽しみな素材よね」
「怪我さえ治れば、若手右腕の激しい競争に入ることになるよね」
「そう、怪我は仕方ないとはいえ、うかうかしていられないのも事実だからね」
何せ京山が一軍で6勝し、阪口は二軍でローテを一年守りU23にも出場して活躍した。
平良も成長を見せ、2019年には勝又が入ってくる。
飯塚も含め、若手右腕の競争の波は非常に激しい。
「まずは二軍できっちり投げて、成績をあげることね」
「そのうえで、一軍にあがれるか、だね」
「でもさっき言ったように、京山、平良はもう一歩上にいるからね。がつんと成績あげないと」
「大丈夫、ほら、守るものもできたし」
そう言って理衣が頷いてみせる。
「そうね、驚きはなんといっても、結婚していたってことよね!」
「しかも、シーズン中にだって!」
昔から交際していたのであろうか。怪我をして投げられない綾部をきっと支えていたのであろう。
「守るものができると強くなるともいうしね、期待しましょう!」
甘いマスクのイケメンだけに、女性ファンは残念かもしれないが。
「とにかく、高卒四年目となる2019年は、足がかりを作りたい年ね」
「女手一つで育ててくれたお母さんの為にも、頑張ってほしいね」
「そういう過程で育った子は伸びるとも、ノムさんも言っているしね」
プロ初登板初勝利は決してフロックではないことを示してほしい。
「若手右腕の群れから抜け出してみなさい、綾部!」