2019年新戦力 #0 ユーティリティで生き残れるか？ 中井 大介
「ジャイアンツさんから戦力外になった中井選手だね」
ほほう、というような感じの理衣。
「どこまで期待できるものかしらねぇ」
と、半信半疑的な表情を見せているのは結乃である。
ジャイアンツへの偏見があるのかもしれない。
「もちろん、ジャイアンツ時代にそれなりに試合には出ていたのは知っているけれど、それでも戦力外だしね」
「まあ、ねえ････」
「期待するのは右の代打として、あとは内外野の守備でのユーティリティ」
「一定以上のレベルがあるってのは重要じゃない？」
「そうなんだけど」
どうにも言葉にキレの無い結乃である。
「だってねえ、あれだけジャイアンツでチャンスを貰いながらものにできなかったんでしょう？」
「そ、それは、そうかもだけど。ほら、場所が変われば」
「まあ、よくいうことだけど」
「期待しようよー」
結乃の肩をつかんでぐらぐらと揺らす理衣。
「もちろん、ベイスターズにきた以上は応援するし期待するけれど、期待しすぎない！」
「またそういうことを」
「そもそも他球団をクビになった選手にどこまで期待するの？」
「でもほら、ヤクルトに入った坂口選手とかさぁ」
「活躍するから目立つのよ、ああいうのは。他にどれだけいるのよ」
「楽天にいった福山投手とか？」
「････」
「と、とにかく、実際にシーズンに入ってからの結果を見てしか評価できないから」
「やっぱり元巨人選手だから、厳しいことを」
「当たり前の事をいっているだけですしー」
「他の選手にはあまりそういうこと言っていないのに」
「強弱をつけているのよ！」
ようは好き嫌いであろうか。
でも本当に、ベイスターズに来た以上は応援するのみ。
本人とて、後がないことは承知であろう。
「とりあえず、チャンスに打ってくれることを期待するわ」
「そうだねー、勝負強さは重要だもんね」
「とにかく得点圏に弱かったんだから、そういうところを補って欲しいわ。球団も、そういうところ期待しているんでしょうし」
「実力的には一軍に入ってもおかしくないもんね」
「まあ、ジャイアンツで一軍に入っていたしね」
生まれ変わった気持ちで、頼むぜ、中井。
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