2019春季キャンプレポート その1
「ということで、2019年のベイスターズ春季キャンプレポートよ!」
拳を高々と振り上げて宣言する結乃。
「あっという間だったね~」
名残惜しむように言う理衣。
「ちなみに、いつからいつまで行っていたかは内緒よ! あたしたちの身バレがしちゃうかもしれないからね!」
「いや、絶対にないと思うけど・・・・」
苦笑いする理衣だが、今の世の中、何があるか分からないというものである。
「さあ、初日よ! 初日はいつも通り、お昼頃には宿泊先のラグナガーデンホテルに到着!」
「今年もお世話になります~」
選手達も宿泊しているホテル、結乃たちも慣れたものである。
チェックインはもう少し時間がかかるということで、荷物を預けて練習を観に行く。
「ちょうど、お昼の時間ね。メインの方は休憩みたいだから、新しいサブグラウンドを観に行きましょう!」
「うわ、本当に新しい室内練習場を作っているんだね。2019年10月には完成するみたい」
と、工事中のため移動しづらくなっているが、多目的広場を抜けて歩いていく。
「うん、思っていたほどは遠くないじゃない」
「そうだね、前と比べると不便だけど、凄く大変で面倒ってほどでもないね」
そうして到着したサブグラウンドでは、タイミングよく何人かがダッシュなどをやっているのが見えた。
「誰かしら・・・・?」
手を額にかざしてみる結乃。
視線の先に映った選手の背番号は、「27」と「16」
「ラッキー! 上茶谷と大貫じゃない!」
「ルーキーさんたちだ!」
上茶谷、大貫、他にも山崎や京山などがゴムを使った二人一組のダッシュを繰り返していた。
すかさぐ写真を撮る結乃と理衣。
さらにサブグラウンドのメインでは、投手陣のノックも行われていた。
「おおー、なかなかついているわね!」
「ノックが近くで見られるのが、サブグラウンドの良さだよね!」
場所を変えて見学を続ける結乃と理衣。
三上や飯塚、京山といった投手がノックを受けていると、やがて別の選手もノックに参加してきた。
「あ、あれは」
結乃が目を向けると、隣で見学していたカップルの声が耳に入ってきた。
「あれー、あれヤスアキかと思ったら、おじさんだった」
「いや、あれヤスアキだから」
(…………ぶふっ!?)
思わず内心で噴き出してしまう結乃。
(なんで、おじさんがノックに入ってくるのよ!? てか、どういう間違い!?)
隣では理衣も肩を震わせている。
こうして初日から二人は康晃のことを「おじさん」と呼ぶようになった。
その後、一度ホテルに戻ってチェックイン。
「良い場所じゃない! メイングラウンドも、サブグラウンドも見ることが出来るわ!」
良い視界を得られる部屋に満足する結乃。
軽く昼食をとると、荷物を置いて、すぐにまた見学に向かう。
今度はメイングラウンドで内野席に座ってゆったりと打撃練習などを見ていると・・・・
「あーっ、スターマンだ!」
黄色くて丸い物体を目にして結乃が叫ぶ。
「本当だ、宜野湾にスターマンきているの、初めて見た!」
隣では理衣もテンションがあがっている。
「かーわいいー!」
「卑怯な可愛さよね、あれは!」
選手達の練習に参加し、一緒に走るスターマン!
選手達とコミュニケーションをとり、写真なども撮っているスターマン。
「・・・・てゆうかさ、この時点で分かる人には分かるよね、私達がいつ宜野湾に来ているのか」
「いいのよ、気にしない!」
ということで、思いがけずスターマンを見ることが出来て盛り上がるキャンプ見学なのであった。