「雨天中止かー、仕方ないわね」
早々に試合中止が決まったのを知り、結乃が呟く。
「天気には勝てないもんね」
理衣も恨めし気に空を眺める。
「でも、ラミレス、事実だとしても中止で良かったとかいわない! 地方球場で、この日の1試合を楽しみにしていた人だった沢山いるんだからね!」
「確かに、楽しみにしていた人には残念だよね」
発言には注意してほしいものである。
「先発は、平良投手がスライドしてそのまま2戦目だね。ローテはどうするのかな?」
「うーん、濱口を火曜日に持ってくるんじゃないかしら?」
「そうすると、大貫投手は?」
「難しいわね、上茶谷、大貫と連続ルーキーのローテにはしたくないし。大貫を一周飛ばすのか」
腕を組んで悩む結乃。
このローテ再編がうまくハマると良いのだが。
「中止になったけれど、楽しみなニュースが出たわね! 交流戦でモーガンが来るわよ!」
「モーガン選手って、あの『T』ポーズの?」
「そう、2013年に在籍した、1年だけだけどファンからの人気は凄かったわね。あたしもタオル持ってるわ!」
「外野で、ファンと一緒に盛り上がっていたね!」
「あたし的には、あのセーフティバントの上手さね! あれは本当の上手だったわ」
「明るくて、楽しい選手だよね!」
一年で離れてしまったのは本当に残念だった。
本人はまだ横浜でのプレーを望んでいたとも聞くが、代理人が年棒を吊り上げて、球団と合意に至らなかったとも聞く。
事実は果たして。
「一打席対戦で、対戦するのが1戦目がG.G.佐藤、2戦目が長田! 3戦目はまだ未定よ!」
「長田投手、楽しみだね!」
「長田もあの頃、頑張ってくれていたもんね! ちょうどこの二人の対戦の日のチケットを取っていたわ!」
ということで、久しぶりのモーガンを楽しんできたい。
なお、西武戦であり、山賊打線に滅多打ちにされないか、試合の方は心配である。
「モーガンみたいな選手がチームにいてくれると良いのにね」
「ベンチもファンも明るくなれるよね!」
「今、そういう選手がいないからねぇ」
とにかく、ベンチが暗い。
特に、リードされているというだけで静かだ。
声出しして雰囲気を変えようというのも感じられず、ただ淡々とプレーしているだけにしか見えない。
「みんなも、野球の時は別人格を出してやればいいのよ!」
モーガンが帰ってくるのだし、チームに勢いをつけてくれないかなー。