「チーム状況が悲惨な状態で巨人との3連戦に突入よ!」
チームは4連敗中。
先発投手は序盤に炎上。
打線はつながらず。
ここにきてかなり酷い状況になってきている。
それでも、結乃は胸を張る。
薄い胸を。
「薄いは余計!」
「でも、本当にまずいよ~。1位よりも、3位、4位が近づいてきているし」
理衣が困った顔をして言う。
「それでも2位よ! 逆境、苦境、どんとこいよ! 暗黒時代、耐えがたきを耐え、忍び難きを忍び、ここまできたのよ! 9月中旬を迎えて、Aクラスどころか優勝の目があるマジック対象チームなのよ!」
「だからこそ、連敗が辛いのにー」
「だからって目を背けては駄目よ! 正面から受け止めて、どうするべきかを全力で考え、やるべきことをやるの!」
「おお、なんかポジティブな結乃だ・・・・いつもネガティブなのに」
パチパチパチと、理衣が拍手している。
「ここで、あーもう駄目だとか、クソチームが! とか言ったところで何にもならないのよ!」
「いや、口に出すのはやめようよ!」
「今シーズンだって、序盤に10連敗して、苦しんで、それでもここまでやってきたのよ! さあ、立ち上がるのよ!」
「ゆ、結乃・・・・」
大仰に両手を大きく広げる結乃。
「今は連勝とか巨人戦とかじゃなく、エースの今永で次の試合に勝つ! それだけを考えて全力を出すのよ!」
「そ、そうだよね。一つの勝利でまた大きく変わるかもしれないし!」
思い返してみれば、中日に3タテされ1勝4敗で終わった週だったが、前の週は5勝1敗だった。
ほんの1週単位で大きくチームの状態も変わるのだ。
「ならば! 次の巨人戦からまた変わらないとも限らない! いえ、変えるのよ!」
「おおー!!」
「勝利はね、掴もうとしなければ掴むことはできないのよ! 精神論では全て変わらないけれど、強い意志を持たなければ戦う前に負けるわよ!」
「どうしちゃったの、この演説・・・・」
「自らを奮い立たせているのよ!」
「おお~~~~っ・・・・」
さて。
頼むよ今永。