「代走のできるキャッチャー、西森!」
「足が速いのは魅力だよね!」
と、声を揃える結乃と理衣であったが。
「・・・・でも、打力がなかったわね」
「そうだねぇ・・・・」
力なく、声を落とす。
二軍のキャッチャーとして、もしかしたらこのままずっといるのでは?
そう思われた西森もとうとう戦力外通告となってしまった。
「足が速くて代走に出られる、スイッチで外野も守れる、ユーティリティキャッチャーとしては面白かったんだけど」
「一軍でも時々出てきたんだけどね」
主に交流戦や、オールスター前の短い期間に一軍に上がり、時々チャンスがあった。
また捕手難だった時代は、スタメンマスクを被ったことすらある。
「リードが滅茶苦茶悪いわけでもないし、足が速いからフィールディングも悪くはなかったはず」
「守備で凄い悪いイメージはなかったよね」
「たーだ、一軍で全然ヒットが出なかったのよね」
結乃がため息を吐き出す。
記憶では、1安打くらいである。
打率も1割を切った気がする。
20打数をこえて1安打。
となれば、スタメンで使いずらい。
「あのスタメンのとき、試合数が少ないとはいえ、打撃でもう少し結果を出せていれば、とも思うわよね」
「機会をいかせなかったねぇ」
「育成ドラフトを思えば、ここまでよく生き残ったとはいえるけれど、それもキャッチャー事情ゆえよね」
「これからどうするのかな?」
「まだ知らないけれど、キャッチャーは色々引っ張りだことは聞くけれどね」
コーチではなくても、ブルペンキャッチャーなど実は引く手あまたの捕手。
西森も、もしかしたらなんらかの形でチームに関わる可能性もあるかもしれない。
「そうしたらキャンプとかで会えるかもね!」
「いずれにしても、次のステップで頑張ってください!」