「国吉といえば、ベイスターズファンのロマンをのせた男!」
いきなり結乃が高らかに言った。
「どうしたの?」
理衣もきょとんとしている。
「わかっていないわね理衣ちゃん。10年前、暗黒真っただ中にあってファンが夢を託したのが打の筒香、投の国吉なのよ」
「あー、なんか前にも言っていたね」
「ともに同年のドラフト一位!」
「国吉投手は育成の一位だね」
「激弱だった横浜、それでも筒香と国吉がいずれチームの4番とエースになると夢を見ていたのよ!」
「筒香選手は夢じゃなくて現実になったね」
「だけど国吉はいつまでたってもロマンのまま! だけど、10年の時を経て、ようやく花開きそうね!」
結乃がタイタニックのごとく両腕を大きく左右に広げ、胸を張る。
有言実行のDeNA・国吉、10年目の手応えと来季に向けた新たな誓い
「もう、開いたんじゃないの? 2019年は活躍したし」
「国吉に期待したのは、まだまだこんなもんじゃないのよ!?」
「そ、そうなんだ・・・・」
「全国の暗黒ベイスターズファンに訊いてみなさい、みんな同じように答えるはずよ!」
「そ、そうかなぁ・・・・?」
「これだけ待たされても、まだ二十代! まだ未完の大器よ!」
「さすがにそれはどうかと」
「なぜか横浜ファンは国吉を見捨てられなかったのよね。やっぱり夢だったからね。まだまだ、満足するような歳じゃないわよ!」
「でもそうだね、圧倒的な球でねじ伏せて欲しいね」
「ぶっ放せカメハメ波!」