2019年振り返り #50 一軍で爪痕を残す強打の正捕手候補 山本祐大
「持っている男、山本祐大!」
腕を天につきあげて言う結乃。
「確かに、出てくる場面は少ないけれど、強烈な印象を残しているよね」
理衣も頷く。
#50 山本 祐大
出場試合 : 13
打数 : 12
打率 :.333
安打数 : 4
HR : 0
打点 : 2
盗塁 : 0
「ルーキーのときは初打席でいきなりホームラン!」
「あれはびっくりしたよね」
「大敗していた試合だけに、あの山本の一発が救いになったわよね」
「苦い思いの試合だったね・・・・」
浸る二人。
「それはさておき!」
「さておき?」
「2年目の2019年はサヨナラヒット!」
「あれは凄かったよね」
「何せ、延長12回裏、2死満塁なんて場面だからね」
「本当に最後の最後だからね」
ベンチに残っていた最後の野手として打席に立ったのだ。
「裏の攻撃でもう守備がないから、代打で送り込めたって巡り合わせもあるしね」
「あと、代打で出番があるとしたら2死満塁でしかありえないって状況で、それが回ってくるってのもね」
「本人も、回ってくるならその場面だと理解していたっていうのは良いわよね」
きちんと出番を予測して準備で来ていた、ということなのだろう。
「その場面で打てたって言うのも凄いよね」
「期待はしていたけれど、二球で追い込まれた時はさすがに無理かと思ったわよね」
「ところが!」
「スライダーにうまくあわせた打球は、前進守備のライトの前に!」
「凄い前進守備だったから、怖かったけれどね」
「いやー、なんかその試合の振り返りみたいになったわね」
語りが熱くなり、おもわず額に浮いた汗を手の甲で拭う結乃。
「第三捕手として一軍にあがって出場機会は少なかったけれど、何か残していくのは良いわよね」
「やっぱり打撃が良い捕手になってくれると嬉しいもんね」
「とはいえ捕手の仕事もしないとね。東と組んだ試合は打たれまくったからね」
「ああ・・・・」
二人は遠い目をする。
「それでも順調にステップアップはしていると思うから、60点よ!」
「目指すは一軍定着?」
「本人も言っているけれど、まず目指すは二番手捕手。捕手は出番が限られるから、人数少なくても競争厳しいわよ!」
「同年代の捕手もいるしね」
「打撃力と強肩で目指せ、三年後の正捕手奪取! ね」
ファンの期待もきっと大きいはず。
「ただし、不祥事は起こさないように!」
「あ、それは・・・・」