2019年振り返り #68 安定してひょうひょうと投げてくれた一年 藤岡 好明
「おー、今年はよく投げてくれた藤岡ね!」
結乃の声が明るく弾む。
「うんうん、ファンの人も喜んだだろうね」
理衣も嬉しそうである。
#68 藤岡 好明
当番試合 : 32
投球回数 : 29
防御率 :1.86
勝利 : 1
敗北 : 0
セーブ : 0
ホールド : 1
奪三振 : 23
「久しぶりに30登板以上したみたいね」
「えーと、ソフトバンク時代の13年以来だって」
「ソフトバンクの時は結構コンスタントに30試合以上投げていたんだけどね」
「それだけの力がある投手、ってことだよね」
「投手陣では何気に最年長!」
「でもまだ2020年で35歳、老け込む年齢じゃないし」
「そうね、経験もあるし、まだまだやって欲しいわね。先頭に立つタイプじゃないかもしれないけれど、経験豊富なベテラン投手とかチームにいないからね」
「若い投手が多いもんね」
「2019年、安定していたのはなんでかしらね」
「チームでは他にいないタイプだから、とか?」
「そうね、技巧派サイド右腕の意地を見せてくれた感じよね」
昨今、スピードボール、強いボールを投げる投手が多く、結果も残している。
めっきり少なくなったように思える技巧派投手だが、やっぱり色んなボールや技を駆使して打ち取ると、見ていて楽しい。
「剛球で相手をきりきり舞いさせるのも良いけれど、駆け引きとかで強打者を打ち取るのも味よね!」
「引き出しの豊富さ、ってところだね」
ストレートは140キロ前後。
それで打ち取るには、球種、コントロール、駆け引き。
速い球を投げられる投手以上に様々なものを駆使する必要があるだろう。
「投げる場面はビハインドがメインだったけれど、それでも安定して抑えてくれるのは重要よ」
「勝ち試合ではさすがに厳しいかな?」
「うーん、実際に球場でも打たれたのを目の当たりにしたからねぇ」
思い出したのか、結乃が渋い表情になる。
「以前はセットアッパーとして投げていた実力もあるんだけどね」
「ソフトバンク時代でしょ! 今はまた立場が違うんだから。それでも、安定感を発揮してくれるとありがたいわ」
「選手にも慕われているみたいだし、ユニフォームを持っているファンの人も増えたように見えたよね」
「活躍すればそうなるわよね。ということで70点くらい上げてもよいかも」
「微妙な数字?」
「満足してもらっては困るってことよ!」
「2020年は……」
「立場的には安心していられる立場じゃないからね、長く選手でいられるように気合いれないと」
「あまり気合入れている姿が想像できないけれど・・・・」
「内に秘めた闘志で構わないから!」
2020年もひょうひょうと投げる姿を沢山、マウンドで見せて欲しい。